人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【感想文】粘膜探偵

書籍データ

  • タイトル:粘膜探偵
  • 作者:飴村 行
  • お勧め度:★★★★

 ぶれぶれ~

f:id:minnagi:20190617221739j:image

舞台

戦時下(第二次世界大戦?)の日本及び日本占領下の東南アジア小国ナムール。
日本軍はナムールの抗日ゲリラに手を焼いている。
ナムールには爬虫人という種族が人間と共存している。髪が無く顔の中央が隆起し大きな目玉を持つ爬虫人の顔面は爬虫類そっくりだが、人間と同じ知能を持っている。
日本に連れて行かれた爬虫人達は使用人として重宝されている。

 粗筋

特別少年警邏隊、通称トッケー隊に入った医学教授の息子少年鉄児は国の為に手柄を上げようと張り切っていた。しかし班長である久世の暴走で入隊早々自宅謹慎を言い渡される。

鉄二はこの失態を挽回すべく、近所の少女、朋代が行方不明となっている事件を解決しようと決意するが…

摂取した人間にあまりにおぞましい死の幻影を見せる拷問薬、「髑髏」の秘密が明かされる。

面白かった。いうて粘膜シリーズだから探偵って言ってもなぁと思ってたけど、予想外にちゃんとした探偵だった。推理ものってわけではないけど、ちゃんと捜査をしている。そもそも粘膜世界の人間たちの思考回路を「推理」できるかっていうと無理だけど。先の読めなさこそが魅力だけど、主人公は比較的「マトモ」な感覚の人間が多いなってこれ書きながら思った。そうでないと読者が感情移入できないからかな。

 感想

かなり良くできた話だと思う。トッケー隊員としてのトラブルと家庭のトラブルとが混じりあって少年が追い詰められてくのがハラハラする。たった5日間の物語で、疾走感がある。登場人物、特に先輩の江森と久世の対比、関西弁を操る大佐の胡散臭さがたまらなく魅力的だ。

大佐は一体何をしようとしているのか、朋代は一体どこにいるのか、が話の中核なのだが、どちらも最終盤までどうなっているのか全くわからなくて、ラストでなんてことだ!って思った。

(粘膜だからもうひどいことになるのは確実なので、騙されたとは思わない)

 

残念だなぁという点は、特徴である派手な描写が控えめなこと。「髑髏」での拷問シーンもあるんだけど、派手にグロ気持ち悪いというよりは日本ホラー映画みたいなじっとりした嫌さがある感じで地味だった。

もっと派手にして欲しいな。