人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【感想文】粘膜人間

書籍データ

  • タイトル:粘膜人間
  • 作者:飴村 行
  • お勧め度:★★★★

 

f:id:minnagi:20190409155252j:image

横暴な義理弟を殺そうと、少年達は河童の力を借りて死闘を繰り広げる。
兵役逃れの兄の秘密を抱えた妹は、憲兵隊からおぞましい拷問を受ける。
死の淵を彷徨った少年は記憶をなくし、人外の境をさまよう。
おどろおどろしい世界でそれぞれが無くし、見つける真実は如何に。

 

面白かった。でもダメな人はダメだと思う。

何が面白かったかというと、ストーリーというより執拗な描写によって生まれるドギツイ世界観だ。逆を言えば「ここ、本筋と関係ないよね?」という部分が長いとも言えるし、単純に暴力描写がひたすら続くので、無理な人は無理だろう。ゴアかな?まぁ、定義的にはゴアだろう、うん。あんまり痛そうじゃないけど。
確かに暴力猟奇表現ではあるんだけど、なんかこう怖くないんだな。登場人物達がイマイチ間抜けなせいか、カッパが出てくるくらいでファンタジーが強いのか。描写は細かいけど現実味がない。総天然色怪奇映画って感じ。
もっと静かなリアリティの方が怖いです。ケッチャムとか。痛みの描写で一番ヒェッてなったのは、スティーブン・キングの「ジェラルドのゲーム」で手錠から抜け出すところかな。この本みたいなどぎつさはないけどその分恐ろしさが強い。普通に本読む人なら平気かなぁと思うけど、自分のグロ耐性がどの程度なのかはわかんないや。

 

ストーリーは三部構成。利一という少年、同じ村に住む非国民の妹として村八分になっている少女、利一の義理の弟と主人公を変えて話が進んでゆく。一部と三部は話が繋がっていて、第二部は物語は繋がってるけど挿話のような話。前後の繋がりは弱め。

それぞれのパートの終わり方は幕を切り落としたかのようなぶった切りかたなので、それからどうなるのかなぁと気になる。余韻があって良い。

 

この本の良さはストーリーラインもだけどその世界観だから、読まないと伝わらないとこ多いと思うよ。