人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
Push
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
Push

Push

Push

ほんとに写実? 現代の写実―映像を超えて 1/2

1/2に東京都美術館に行ってきた。
お目当ては「現代の写実―映像を超えて」で、ついでにゴッホも見ようかと思ったんだけれどもチケットカウンターが大行列だったのでやめた。最近ゴッホはあんまりぐっと来ない。

www.tobikan.jp

基本的にここのサブ展示は写真が撮れることが多いからカメラを持っていくことをお勧めするけれど、ここで写真撮ってると割と係員からクレーム来がち。もちろんちゃんと掲示ルールには従ってるんだけど。
基本的に携帯の無音カメラアプリくらいしか許容されない感じあるねぇ、どこも。

f:id:minnagi:20180104141911j:plain

---

小森隼人 待宵

f:id:minnagi:20180104141915j:plain

これはリアル。
陶器の青が滲む様がすごいなぁと思うも、古い本などの表現はリアルを超えてどぎついほどです。
今回は解説が面白くて、写真ではなく絵画である良さ、例えば同一画面でも光源を者によって自由に変更するさまなどが説明されています。

---
小森隼人 中紅花

f:id:minnagi:20180104141918j:plain

こっちの方が好きだなぁ。花弁のふんわりと発光する様が好きです。

---
橋本大輔 FAC3016

f:id:minnagi:20180104141921j:plain

かなり大きい作品です。162cm×194cmの巨大な画面いっぱいに描かれた廃工場。

f:id:minnagi:20180104141923j:plain

表面が一部ざらざらとして飛び出してくるよう。

---
塩谷 亮 静刻


f:id:minnagi:20180104141926j:plain

これ、去年文化村で見た気がする。静謐な感じがしていいですね。

---

小野田尚之 発電所

f:id:minnagi:20180104141928j:plain

この人はすごく好きだなぁ。とても大きな日本画、紙本彩色の作品です。
この緑色がとてもいいと思うし、西洋画のぬらぬらとした感じとは違って日本画の粉を吹くような乾いた表現が苔むしたようで作品の雰囲気にとても合っています。
リアル感、幻想的な感じ、それでいてどこか突き放した他人事のような非現実感がいいバランスだと思います。

新しい日本画ではあるけれど、日本画でしか成立しない画面でもある。
自宅の広い吹き抜けにこういう絵があったらいいなぁと思うのですが、これを鑑賞できるサイズの吹き抜けってどんなだろうな。

---
岩田壮平 こい

f:id:minnagi:20180104141931j:plain

こちらも日本画。この群青とかは岩絵の具でしか出ないなぁと思います。
蜷川実花さんの世界のような極彩色の世界。旅館のロビーとかに置いたらとても映えるでしょうが、小さめの作品でも自室に置くには濃いなという感じ(鯉だけに)

---

f:id:minnagi:20180104141934j:plain

下の階はこんな感じ。他にもいろいろあるのは公式サイトで。

左側の作品とかフライング・ブレインすげえな!って感じで、どこが写実なんだろうと思う。
どの作品も抽象ではない。具象だ。でも、具象だからと言って写実ではないんじゃないかなぁ。
例えばどんなにふんわり描かれていてもモネは写実だし、ゴッホにとって世界はああ見えていたのだからゴッホは写実だ。
でもいくらリアルでもマグリットは写実ではないでしょう。

www.hoki-museum.jp

関東で写実といえばホキだなぁとホキ美術館の写実についてのコラムを読んでみたりする。
見た通りに描かなければ写実ではないのか。ならば自由に光源や対象のサイズを変えること、組み合わせることも禁止なのか。あるいは少し花の彩度をあげて描くことすら認められないのか。いや、だからと言って空飛ぶ脳みそはどうなんだ。そこまでいくともう具象であるかすらあやしくなってくるじゃないか。

ってことを考えてしまったからいまいち乗りきれなかった。写実日本画は結構好きなんだけどね。