求められる理解 韓国の抽象
東京オペラシティに、「単色のリズム 韓国の抽象」を見に行った。
日曜日は写真撮影可能ということで、もちろんカメラを担いで行ったよ。
どうでもいいけどカメラを「担ぐ」って慣用句、現代の小型カメラにはそぐわないなぁ。閑話休題。
入ってすぐにもらえるのがこの冊子。スタイリッシュ。
しかもフルカラー!びっくりした。え、ここ1200円しかしないのにこんな豪華でいいの?全然客入ってないけど??
静謐な作品が多いせいか、展示室には作品と作者名・作品名しか表示されていない。作者がどんな人なのか、作品はどうなのかといったことはこの冊子を読みながら鑑賞することになる。作者一人に対して見開き1ページ、略歴や解説が半分と1つの作品の写真が載っている。
こういうのいいねぇ。
先に文字情報が入ってくるとどうしてもそちらに引きずられてしまうから、まず好きに見て追加情報をもらうというのは特に抽象絵画にはありがたい。
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写真付き冊子があるなら別にカメラ持ってこなくてもよかったなぁと思ったけど、そんなこと無かった。全作品は載っていないし、今回の展示の特徴としてテクスチャが面白いものばかりだったから。
例えばこれ。
河錘賢 接合
解説にあるように、裏から絵の具を裏ごしする感じに押し出した作品だ。けどこの写真じゃわかんないよねぇ。
横からこうやってみると、結構厚みがあるのがわかる。
う~ん、このブツブツがかなり気持ち悪い。
押し出した絵の具を部分的に均して表面を作り上げている。
展示はこんな感じ。綺麗だね。
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権寧禹 無題
こちらは韓紙を切ったり重ねたり裏に何かを入れたりしている。
綺麗と気持ち悪いの間。これ、だめな人だめだろうなって写真を見ると思う。
実物はここまでコントラストを感じないからそれほどでもないんだけど。
薔薇の花みたいだなぁって思ったよ。
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尹亨根「Unber-Blue]
これ、すっごく韓国っぽい。
複数の色を重ねて滲ませて、まるで乾いた血のような色を作り出している。
この写真を見せたら2人が「恨みでも表してるの?」って聞いてきた。わからないでもないw
抽象画って結構お国柄が出る気がする。
ヨーロッパ系ならカラフルだし、日本ならなんか陰鬱としている。
韓国はこういう感じ。静謐で張り詰めた打ちっぱなしのコンクリートや麻布のような印象があると思う。
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朴栖甫「描法 No000212」
このシリーズ好きだ。表面に絵の具を厚く盛り上げ、ヘラ等で地模様を作っていく。
シャープな感じがいい。
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李禹煥 「線より」
メインビジュアルになっているもの。シンプルだけれど色がとてもきれい。
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崔恩景「Beyond the Colors #69」
フレスコ画のような色。この水色とても好きです。欲しいな。
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いろいろ見て面白かったけれど、綺麗で面白いなぁで終わってしまうよね。抽象画ってそうなりがち。
「世界の川の砂を使用することで民族の歴史を表現し…」みたいな作品もあったけれど、それって結局自己満足だよなと思った。
だって、それがどこの砂かってのは見ている人にはわからないから。
説明が必要なら、それは作品だけで完結していないってことじゃないかな。
気に入った「描法」シリーズとかも実験結果のようだ。その結果の完成系な感じがしないのだ。
ならば抽象の完成とは何なのか、自己満足で終わってはだめなのか、そもそも芸術ってのは自己満足なのではないか。
そういうことを考えながら見たりした。
自己満足への理解を求め出したらダサイ、かな。私の答えとしては。