人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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ルネッサーンス! 遥かなるルネサンス展 天正遣欧少年使節がたどったイタリア

連休中、一人で暇だったのでよっこらしょと遠いところに行ってきた。

www.fujibi.or.jp

東京富士美術館の遥かなるルネサンス展。
富士美術館の何がきついってね、とおい。すっごい遠い。駅からバスで15分もかかる。遠い。
遠さを乗り越えれば、建物は派手だし展示はゴージャスだし入場料は安めだし、『さすがここは金を持っているなぁ」って感じがして面白いです。

というわけでルネサンス。というか、天正遣欧少年使節団。

天正遣欧少年使節 - Wikipedia

安土桃山時代、戦国時代が終わってすぐのころに長崎を出発した少年たちがキリスト教の総本山であるローマを目指して4年物船旅をする。しかし1590年に命懸けの旅から帰国した彼らを待っていたのは、1587年に禁教令が発令された祖国。そして1596年に再度禁教令を経て、病死した伊藤マンショを除いて一人は棄教、一人は国外追放、そして一人は殉教してしまうというなかなかにハードな物語です。

今回の展示は「天正遣欧少年使節がたどったイタリア」というサブタイトル通り、彼らがその目にしたであろう華やかなりしイタリアルネサンス芸術を見ることができます。

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ヤコポ・ズッキ「銀の時代」

 ギリシャローマ神話では、世界創造の直後が地上が楽園であった最も素晴らしい金の時代、神々が地上から去り始め四季=過ごしにくい季節が生まれた銀の時代、そして青銅の時代、鉄の時代=現代と、時を経るに従って世界が荒廃していったとされています。

その中の銀の時代。まだ地上に神々がいた世界の、厳しい時代の到来を告げる絵です。石板には「お前は顔に汗を流してパンを得る、土にかえるときまで」と書かれているとのこと。

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面白いなぁと思うのが、右下の杖を持つ女性。これ、ケリュケイオンじゃないですか。サンダルは履いてないけど頭にも羽がついてるし、これってヘルメス≒メリクリウスじゃない?何で女性になってるの??

めっちゃ気になります。

 

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パオロ・ヴェロネーゼと工房「少年と騎士見習い」

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これ、確か普段は常設展にあるやつ。部屋の壁にかけると、だまし絵的な効果を生むおもしろい絵です。わんこも可愛いし、騎士の服装も興味深い。少年のお世話係なのかなぁとか想像が膨らみます。

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ドメニコ・ティントレット(ドメニコ・ロブスティ)「伊東マンショの肖像」

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これはなかなかすごい絵。伊東マンショの顔って言ったら、教科書に載ってるのこっちじゃないですか。

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4人ともおんなじ顔のやつじゃないですか。それが、この個性あふれる肖像画

元々彼らの肖像画が発注されたことは記録にあったけれど、現物はつたわっていなかったそうです。それが2014年にこの絵を修復中、裏書きを解読して伊東マンショを描いたものだと判明したのだとか。夢とロマンだね。

元々お父さんが描いていたのを未完のまま死んでしまい、息子がサイズを切り詰めて完成させたということです。よく見ると確かに、服とかざっとしか描かれていなかったりする。

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この2枚もおもしろい。ビアンカカペッロ肖像画

彼女が何者かというのは、こちらのサイトが詳しい。

ビアンカ・カペッロ、毒殺か病死か?謎とスキャンダルに満ちた世紀の美女の物語。 | フィレンツェガイド.net

ああ、これぞ中世ヨーロッパ、華の都フィレンツェを支配するメディチ家の闇!夢と憧れとロマンの結集みたいな人生です。

アレッサンドロ・アッローリ派「ビアンカカペッロの肖像」1578-87年

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アレッサンドロ・アッローリの工房「ビアンカカペッロの肖像」1578年以降

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同じ工房の絵でこれほど違うってのもおもしろいなぁと思う。2枚目は美人だけど、1枚目はめっちゃぽっちゃりオバさんじゃない。この順番に掲示されていたのだけれど、やはり2枚目が若い頃で1枚目は年取ってからの肖像画なのかしら?

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ポストカードなかったけど、フェデリコ・ツッカリのラファエロに基づく「聖ペトロの解放」もすごく良かったです。ラファエロの絵が見たい。

https://www.amazon.co.jp/dp/B01N9O0VL7/ref=cm_sw_r_tw_dp_f6..zb3AYXVYK

余談だけど、アマゾンプライムの人にオススメ。面白いよ。

 

常設展の方も、かなり豪華で楽しいです。ジョセフィーヌのティアラとかあった。ダイヤモンドを1040個使ってるとか書いてあったけど、そんだけベタベタ貼るとなんか安っぽいなぁと逆に思った。

ここは収蔵絵画の世代の割に宗教画が異様に少ない印象(だって西洋絵画なんてほとんどキリスト教ギリシャローマ神話の絵じゃん)なんだけど、今回は天正遣欧少年使節というバリバリのカトリック展示で面白いと思った。けど、その割にキリストの絵とかなかったなそういえば。使徒の絵とか聖職者の絵はあったけど。

 

ここは収蔵品がwebで観れるし、音声ガイドも聞けるので公式サイトおすすめです。 

常設作品リスト(日) | 東京富士美術館 | 東京富士美術館

常設展について以前別サイトに書いた記事はこちら

美術展にカメラが欲しい理由 #芸術 by みなぎ | エッセイ投稿サービスShortNote(ショートノート)