東京藝術大学の「うるしのかたち展に行ってきた。
めっちゃフォトジェニックな展示館の中でやっている無料の展示。
入ったらパンフが置いてあって、この厚さなら500円くらいかな?て思ったら名前書けば無料でくれるって言われてびっくりした。
超綺麗じゃない?クオリティ高くない?ピッカピカで漆みたいじゃない?
こんなしっかりした冊子無料で配って大丈夫なの??
学生や教授陣が作成した漆工芸が40点ほど見ることができます。
大西 長利 「漆玄盤」
幅530mmのお盆。ただシンプルな楕円形だけれどとても美しい。まるで水を湛えたかのような深さがある。
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方 兆華 「太湖石」
方解石のような不思議な多面体。ある面は光を反射して真っ白に光り、ある面は闇に沈む。そして他の面は周囲と私を写して揺らめく。
鏡面にしか見えない漆器の美しさが完璧に出ている。
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今井 美幸 「そうそうと」
壁に掛けられていた。ゆらりと描かれた直線は風を表すのか波を表すのか。飄々として、真っ黒なのに軽やかだ。
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長島 友治 「有限性の前に」
高さ1.2mだけれど台の上にあるので見上げるほどの大きさだ。フードの中が空虚で、ハリーポッターに出てくるディメンターのようだ。正面に立つと逆さまに映る自分の姿と向き合うようになっている。
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青木 宏憧 「心境」
あああああ!青木好きぃ!!!
以前都美セレクションで見てからファンだ。欲しい。
黒い部分は楕円形ではなく、こちらは膨らんでいるが反対側は凹んでいる。周囲をぐるりと巡ると自分の姿が映る。膨らみ、広がり、急に細くなって一瞬映らなくなり、また歪んだ姿が現れる。そんな上部に対して下部は緑青のような色をした棘が無数に生えている。
膨らんで、歪んで、ねじ曲がりながらもつるりと滑らかに見せておいて、もし気づかれたらそれをあっという間に破裂させてしまう鋭い棘。
大好きだ。
こんなすごいものがケースに入っていないのでゆっくりじっくり無料で見られる。図録ももらえる。
行かない理由がない。
こうして図録を見て思うのだが、さすがプロが撮った写真は変な映り込みもなく綺麗に撮れている。
しかし鏡面そのものである漆の魅力は、覗き込んだ自分自身が作品に取り込まれているところにこそあるのではないだろうか?
天井の高い講堂で、じっとこちらを見つめ返す歪んだ自分の姿と向き合い、蝉の音だけを聞く。
そうしてこそこの展示は完璧になるのではないだろうか。
行こう。