人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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建築写真のフォーマット 「光と空間」建築の美

六本木に行ったら必ず寄るところがあります。美術スキーはみんな寄るんじゃないかな、富士フィルムスクエア。
ここはいつ来てもなんか新しいことやってるし、無料だし、写真撮影可能なことが多いし、とても良いですよ。
というわけでまずは、"日本建築写真家協会「光と空間」建築の美Part12"を見た話。

 

fujifilmsquare.jp

 

ところで、お題の決まっている写真って難しいと思わない?
例えば「富士山」。
富士山の写真は、すごくたくさんある。これだけ沢山撮影されていると、ある意味撮り尽くされていると言ってもいい。そしてデータが充分に溜まっているから、「富士山撮影ベストスポット」なるものが存在する。この季節のこの時間、この場所でこの角度で撮影すると最高の富士山が撮れるという条件がわかっている。
もちろんそれでも腕の良し悪しはあるけれど、誰が撮ってもだいたい同じような写真が撮れてしまうだろう。
ならばその「最高の富士山」には価値がなくなるのだろうか?最初の成功者だけが芸術家で、他は模倣者なのだろうか。新しく富士山を素材とした芸術写真を撮るには、まだ誰も撮影していないシチュエーションを探すしかないのだろうか。
何年も何年も写真の歴史が重なる中で、そんな未撮影シチュは減って行くだろう。そうやって全ての角度から取り尽くされた富士山は、芸術の搾りかすなのだろうか。百年後には写真の題材として富士山を選ぶことはあり得ないとされるのだろうか。

 

でもそんな長々書きつつ、今回の「建築写真」に対しても『ただ真正面からぴっちり真四角に撮った家の写真とか、不動産広告みたいでつまらないな』と思ってしまうのだ。
言ってしまえば、『そんなんいい写真と三脚があれば子供にだって撮れるわい』となってしまう。

 

しかし逆にあまりに新奇性を求めすぎると、今度は『建築写真』という規定から外れてしまう。それは良くない。大変によろしくない。
以前某サイトで「街角スナップ」と言う題で素人写真コンテストが行われた時、最優秀賞になったのは「室内ポートレート」だったことがある。
その時私は真剣に怒り狂った。
どんなにうまく撮れていようが目新しかろうがら応募規約に沿っていないものは選考外とするべきなのだ。俳句のコンテストにはラップや漢詩は出すべきではないし、どんなにうまくても短歌は俳句ではないから一次選考落ちにしなくてはならないのだ。
この件に関して私は割と真剣に一年くらい怒り続けている。実はまだ許してない。

 

とまぁ余談が過ぎたが、芸術性≒美しさと個性≒新奇性のバランスを取るのは非常に難しいよね。
けれどやはり芸術を志すからには、この人でないと出せない何かというものがやはり欲しいなと思ってしまう。
なんて色々考えて勝手に怒り出したらするから写真って難しいよね。

 

 敬称略です

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個人宅なのかな、とてもきれいなガラスの鎧戸。京都人は大学で建築をやった人なのだけれど、これが一番と言っていた。
子供がとてもかわいらしくて、建物がメインというより人物がメインになっちゃってるかな。

藤井 浩二「Finding Rainbow」

f:id:minnagi:20170620193640j:image

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なんだか不思議な感じのする建物の壁。外壁かな?
ここまで寄ってしまうと綺麗だけれど建物の美しさ、ではない気もする。

中島 真吾 「ddp」 東大門デザインプラザ(韓国)

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これもぎりぎりな感じだけど、綺麗だなぁと思う。

兼平 観也 「refrex」住友不動産六本木グランドタワー

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これはとても美しい建物ですね。
人物はいるけれどもメインはやはり梁の構造で、それでも人物がいることで引きしまった感じ、清廉な感じが出ていてとても素晴らしいと思います。

小川 重雄「木の構成」 工学院大学弓道

f:id:minnagi:20170620193449j:image

 

 

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灯台の内部。誰かに見せるためでもないのにこんなに美しい。すっきりとまとまっているし、清潔感というか無機質な感じがSFっぽい。
とても優雅なのに階段がよく見ると古びて無骨なところもよい。

野口 毅 「鋳鉄の階段」 戸馳島灯台f:id:minnagi:20170620193545j:image

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入ってすぐのところだったから、優秀作とかなのかな。
色がとてもきれい。不思議な建物ですね、電波塔か何かかな。

田中 豊 「しきり」 ドコモ青森ビルf:id:minnagi:20170620193600j:image

 

にしても私は、もう少し真正面から写真を撮るように心掛けるべきですね…