人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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不穏の秘訣は渦巻き? 門坂 流 6/5

町田ゆかりの版画作家、門坂流の企画展示がやっていた。小笠原流とか二天一流みたいな流派の名前かな?とポスター見たとき思ったけど、カドサカ・リュウさんでした。
京都生まれで東京芸術大学で油絵を学び、町田にアトリエを構えてペン画・水彩画・銅版画を中心に創作活動を行ったそうです。
すごいうまい人、大学で学んだ学科と違う分野専攻しがち。

門坂流 - Wikipedia

イラストレーターとしても活躍し、小説の挿絵なども担当していたそうだけど、和書は基本的に読まないからわかんないな…いや、避けてるわけじゃないんだけど世の中に本が多すぎて手が回らなくてさ…

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「蔦の絡まる教会」

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この絵は自信がないけどどこかで見たことがある気がする…何かの挿絵に使われていたのだろうか。似た別の絵かもしれないけれど。

この人の作品も基本的に横線ですね。カナレットとは違って短い線だけれど。
蔦の部分が風で唸り、なんかクトゥルフ味のある世界観。ドア付近の金具もうねうねとしてなんか教会っぽさが薄い。ドアの向こうに何があるんだろうね。

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「蔓草」

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42×68㎜という非常に小さな作品。でもめちゃ精密な作品。
蔓草の実の部分かな。ここに注目する?っていう。自室に飾っておきたくなるような作品。

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「梢」

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不穏~めちゃくちゃ不穏~~
冬の空。葉の落ちた木の枝を下から見上げている。雨雲というほどではない薄い雲が渦巻いている。たったそれだけで何の物語性もないのに、なんでこんなに不穏なのだろうか。冷たく乾いた感じ。命が感じられないからだろうか。

渦、曲線、うねり。この辺がなんか不穏な感じがするんだな。ティム・バートンの映画もそうだし、私だけじゃなくて共通的なものなのだろうか。
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「『水の光景』早瀬」

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こちらも曲線だけで構成されているのに、すごくさわやかな作品。
一版多色刷だそうです。原版に複数の色を乗せて刷ることでこんなグラデーションが生まれるんだね。

手前から奥へと吹き抜ける風。まぶしくて見えない川の上流。そこに何があるのかわからないのは先の「梢」と同じだけれど、こちらがあまりクトゥルフ味ないのは何だろうね。色?やっぱ色は大事なのかな。

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無料小展示ね~一応観とく?くらいのノリで入ったらめちゃくちゃカッコイイ作品群でびっくりした。得した気分。
でも能面が浮いてる作品とか、やっぱり全体的に不穏は不穏。
不穏好きだよな日本作家。私も好きです。 

フォトジェは死語 #映える風景を探して 6/5

世田谷美術館に行こうとしたら予約が瞬殺ですべて埋まっていけなかった…
ので町田市立国際版画美術館。このご時世、予約なしで入れてくれるありがたいところです。

hanga-museum.jp

風景画の始まりから、グランドツアーや古代遺跡の発掘による”ピクチャレスク”な風景画が爆発的に人気となった時代を経、写真の登場により「記録複製媒体」としての役割を失った風景版画の行く末を追っています。
風景画はその性質上写実が求められるもので、だとしたら究極的には誰が描いても似たようなものになりそうなものなのだけれど、それでもやはり個性が強く出て面白いものです。

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レンブラント・ファン・レイン「三本の木」

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エッチングで本人制作の模様(原画のみの場合はそう明記されるから)

一目見た瞬間、やっぱすげえな!って思います。力強さが違う。レンブラントらしくぐっと明暗のきいた画面。雲の様子や車線は雨を表しているのでしょうか、いい感じに画面が引き締まっています。
(下の方だけ黒いのはガラス面の反射)

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カナレット(アントニオ・カナル)「河岸の眺め」

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これは京都人がとても気に入った絵。
カナレットって検索するとディズニーシーの情報がまず出てくる。彼の名を冠したレストランがディズニーシーのヴェネツィアン・ゴンドラの横にあってね。それは運河を描くことにかけて定評のあったこの画家の名前にちなんでいるんだよ。

風を感じるような繊細な描写。明暗のコントラスト、水面の映り込み。
京都人が何をそんなに気に行ったかというと、線だそうです。こういう線描で、横線は珍しいと。しかも1つのタッチが長く折り返しながら進んでいくのはなかなかないということでした。
なるほどねぇ(京都人は芸術家一家の出で、本人もリトグラフをやっていたことがあるんだとか)

一枚手に入らないかなぁというので軽く検索してみたけれど、油絵複製画は売ってるけど版画はポスターすら手に入らない。人気ないのかなぁ?

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デイヴィット・ロバーツ「エドフ神殿の柱廊式玄関部分」

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リトグラフに手彩色だって。さすがにこの色は版画では出ないか。
すげえ。臨場感と圧倒的なリアリティ以前にめちゃくちゃにかっこいいし、見ていてすごいわくわくする。
討ち捨てられた砂漠の神殿の「発見」はこうやって行われたのだろうね。

 

現在はこうなっているみたいです。掘り起こしたのかな。スフィンクスがほとんど砂に埋もれてる絵とかもあったよ。掘り起こした砂はどこに行ったんだろうか。

www.istockphoto.com

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作者不詳「眼鏡絵 パリのブールヴァールグラン・カフェからパリ市貯水場付近を眺める」

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眼鏡絵とは鏡とレンズを組み合わせた光学装置「のぞき眼鏡」を通してみることを前提として作られた版画です。

とのことですが、その肝心の覗き眼鏡がない。残念。
余談だけど、クロード・グラスが展示されてたけどだいぶ低い位置にあったからすごく見づらかったし、ステレオスコープの本体と対応した写真もあったのに、本体にセットされてなかったから立体視できなかった。なんでや。一枚くらいセットしてくれや。なんならレプリカでもいいから。

まあそういう仕掛け前提の絵だから絵単体で見てどうというやつではない。というか遠近法きつすぎておかしいんだけど、消失点が視界の中央に来るようにして見ると、立体感が急にワッてくるのが面白い。ぜひ試してみてほしい。

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ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー「『ヴェニス、12点のエッチング集』より ラグーナ(湾)」

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今までとは打って変わってひどくシンプルな絵。
これは1880年の作品、写真が普及した後の作品だからです。報道として伝えるという使命から解放され、絵画芸術のように自由に描くことができるようになったのですね。
多分写真の普及で版画技師たちの仕事は大きく減っただろうけれど、こうやって新しい表現を得ることもできてよかったんだろうな。現場の職人たちは困っただろけど。

最低限の線で描かれた海の様子。船で働く人々や波の表現がシンプルに、でも正確に表現されていて、印象派のようです。これを見て最初に思い出したのが「印象・日の出」ああいう完璧な世界がここにある。特に海の部分がものすごく大胆で、自信がないとこの表現はできないなぁと思う。好き。

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すごくいい展示でした。やっぱり風景画は見ていてすごく気持ちがいいなぁと思う。
ターナーブリューゲル、ミレーなどの大物作家の作品も多くて豪華でした。

おすすめ。

無料工芸展 5/2

何がゴールデンウィークだ畜生。2つ美術展予約してたのに緊急事態宣言で休館キャンセルだわ。

という悲しみを胸に事前に目をつけてたイベントで唯一開催されてたこれに行ってきました。

ザ・美術骨董ショー The Japantique Show

美術骨董ショー2021。サイトの作りがゼロ年代感漂ってるし、コロナで中止になるとも決行するとの案内もないので不安だったけど、まあ入場無料だし会場はちゃんとしたホテルだしとダメ元で行って見たらやってたよ。よかったね。

 

なかなか広い会場に沢山のショップが来ていてすごかったです。バンクシーとか伊藤若冲とか濤川惣助とかあった。ちなみに若冲はゆるふわ鶏の掛け軸で220万円だった。

他にも象牙の彫り物ですごいリアルな鳩があって欲しかったけど、流石に象牙の管理はできない以前にどうせ買える値段じゃないなって金額も確認してないよ。昔三井美術館でやってたデミタス・コスモスに出てたのと同じ、金地にターコイズのジュールがびっしりついてるカップもあってすごかった。

誰が買うんだろうなあ。いいなぁ。

普通に美術館行ったくらいの満足感がありました。来年も行きたい。

 

京都人がなんでだか買ってくれるというので購入。シャムロックという店から。

シェリーのクイーンアン、サンライズのデミタスカップ&ソーサーとティーカップトリオ。わかりにくいけど手前がデミタスです。

両方1927年イギリス製とのこと。

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こっちがデミタス。すっかりまとまってます。
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こっちが通常サイズ。河からの日の出なんでしょうな。
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どちらもなかなか変わったデザインです。好き。

アンティークフェアに私の好きなこの年代のものがないなぁと呟いたら、京都人に「まだアンティークじゃないからね」って言われた。確かに。あと10年くらいしないとダメか。でもそしたら値段上がりそうだな…

ふわふわのモフモフがたくさん 渡辺省亭 欧米を魅了した花鳥画 4/16

藝大美術館でやっている 渡辺省亭展。迎賓館の七宝絵で有名な人ですね。

seitei2021.jp

しかし「忘れられた天才」みたいな扱いになっててなんでや~って思った。

渡辺省亭 - Wikipedia

濤川惣助というあまりに有名な七宝作家の陰に隠れてしまった感じなのかね。いくら超絶技巧とはいえ下絵があるからこそだろうになぁ。
あと、帝展などに作品を全く出さず個人受注制作が中心だったことも後世に名前が残りにくい原因とのことでした。もったいな~って思うけれど、渡辺省亭自身はべつに仕事もあるし困らなかったんだろうな。本の挿絵の仕事とか、注文が多すぎて「請われて書きましたって添えてもいいなら描く」って条件つけたりしてたみたいだし。

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「牡丹に蝶の図」

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メインビジュアル。やっぱすげえ。
全体としては日本画、それもしっかり本流の古典的なものなのだけれど、リアリティがすごい。
花のにじみの美しさは恐ろしいほどだし、後ろで散ってゆく花の諸行無常管、花弁の落ちる静かな時間経過表現も素晴らしい。

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「葡萄に鼠図」(部分)

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鼠の作品がいくつかあってよかった。すごくふわふわでかわいい。
この作品もだけれど、基本的に動物はめっちゃ精密に写実表現がされている。まるでそこに生きているかのように。対して背景は伝統的日本画、むしろ水墨画のように表現され、稲妻のような茎の植物たちがデザインされている。
本物の動物が絵の中に迷い込んだようなファンタジーの世界を感じる。

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「鳥図(枝にとまる鳥)」

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ドガース君とありますが、印象派の巨匠ドガへプレゼントしたものだそうです。それもその場でさらさらっと描いたものなのだとか。
ちょっとしたデッサンでこれかよ~~~という気持ち。

他の絵みたいにすごい精密描写も良いですが、こういう勢いであっさり描かれたものも良いです。ポストカードなかったけど烏の絵とかめちゃくちゃよかった。

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会場入ってすぐのところに迎賓館の七宝絵の下絵が展示されていましたが、それが迎賓館の壁を模した掲示になっていて雰囲気つかめてすごくよかったです。ちなみにその絵はこれで下絵か?てくらい容赦ない描きこみで、普通の一枚絵作品くらいの緻密さだった。これを七宝にできるんか?っていう挑戦状みたいな。でもそれをちゃんと絵画と見まごう精度で仕上げてくる濤川惣助も化け物だなって思った。

印象に残ったのはこちらのサイトにもあるヒラメ図です。

seitei2021.jp

古今東西、ヒラメのこのポーズ描こうと思った人おる?ていうかヒラメって生涯でこのポーズ撮ることあるの??

半分くらい入れ替わるみたいだから後期も行ってもいいかもな。

超ボリューム アーティゾン新収蔵作品展示4/15

アーティゾンミュージアムのSTEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示に行ったよ。といっても全部が新収蔵作品というわけではなく旧蔵品もあるけれど。

www.artizon.museum

しかしボリュームがすごい。作品リストが16ページだぜ?撮影可能だからモバイルバッテリー持って行ったほうがいいよ。私これで充電カラになってスマホ依存症禁断症状で死ぬかと思った。

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イサム・ノグチ「魚の頭 No2」

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今度東京都美術館イサムノグチやるよね。ちょっと楽しみにしている。
石のかたちを生かして、元のままの岩肌を保っているところ、鑿の跡が残るところとツルツルに磨き上げたところ(この角度じゃ見えないな)があって面白い作品。彼の彫刻にしてはツルツル部分がだいぶ少ない。
穿たれた穴のところが眼窩なのだろうか。上から見ると全体が体をくねらせた魚の形のようにも見える。ずっと見てると手前の出っ張ったところがヒレで左側が頭なんか名?とも思うし。
魚の頭を彫ろうと思って作ったのか、できたものに名前を付けたのかどっちなのかな。

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マン・レイアストロラーベ(天体観測器)」

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これは観測器なので、中央の覗き窓からのぞくのが正しい見方なんだそうです。

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なので裏から見てみた。横に渡された枝の上にある小さなガラス。そこからのぞき込むらしい。
なるほどわからんだし、このダダイズム特集の部屋にあるマン・レイの作品なのだから、わからんのが正解なのだ。

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アルベール・グレーズ「手袋をした女」

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わからんといえばこれもまあまあわからんくてじっくり見てしまった。
タイトルは「手袋をした女」だし解説に「大きな手袋をした女性の姿を認めることができる」ってキッパリ書いてあったんだけど…どれが手袋?
中央の茶色いパーツが上向きのミトンなのかな?

ぽかんとした女性の顔。ステゴサウルスみたいなギザギザ。全体的に歯車の機構のようでリズムが良い作品です。

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田中 信太朗「Heliotrope 2008」

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 これはいいですね!
すごく大きな絵。一面に緑色のごつごつした、ライムの皮のような質感が表現されています。画面全体から光り輝くようで、こういう美術館とかホテルのロビーとか広くてすっきりした場所に置くと本当に良さが引き立ちます。
ヘリオトロープって花の名前らしいけれど、別に緑色の花なわけじゃないんだよね。中央の部分が花芯というわけでもなさそう。
月の表面みたいにも見える。何を描いたというわけでもないのかな。

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見どころがすごくたくさんあってよかったです。
デュシャンのトランクの箱がいくつかあって私も欲しいな!って思った。跡見ろが結構あったし、白髪一雄も見れた。キュビズム多かったなって印象。
9月までずっと同じ展示やってるみたいだからぜひ見に行くとよいと思う。

顧客が本当に求めていたもの コレクションを巻き戻す 4/14

コレクション展だよ。

www.mot-art-museum.jp

東京都現代美術館の設立やコレクションの順番、方針なんかの歴史的解説もあって面白かった。東京都美術館の別館的なやつだったのね。

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浅井 忠「象の図」

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すごいリアルな像の絵。ちゃんと実物に取材してるんだなって。やはり日本画は西洋絵画が入った後の写実主義を消化した作品が好きだな。背景の赤い布地も可愛くて好き。

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石井 林響「童女の姿となりて」

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ヤマトタケルの話だそうです。
クマソタケル兄弟を討つときに、相手を油断させるために叔母のアドバイスで女装して宴に侵入したという古事記の逸話を描いているのだとか。いわゆる、日本最初の男の娘話ですね。ぱっと見は美しいけれどよく見ると顔は割とりりしいような、でも女装子さんだって分かってるからそう見ちゃっているだけのような。
足元画面外に置かれた光源から柔らかく光の当たる布。特に薄物の輝くさまが幻想的。

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黒田 清輝「入江」「引汐」「上汐」

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最近こういうシンプルな絵が好き。数色のグラデーション、何本かの横線で海だと認識できるのは色の選び方が良いからだろうか。海というものの本質をつかんでいるからだろうか。
こういう絵が家に一枚あったらいいだろうなと思う。

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アラン・マッカラム「240個の石膏の代用物」

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撮影不可作品。パンフより。
これね、すごくいい。せっこうでできたふれーむのようなもの。ピカピカに磨かれた黒い表面を持つ四角い塊。それが整然と並べられている。
美術館でリトグラフの小品が壁一面に並んでいるさまを思わせる。岐阜美術館のルドンのような。
なんか、これでいいじゃんねぇ?
人が絵画に求めているもの、この代用品であらかた充足できている気がする。そこにあるという確かな質感と埋められた壁。それで割と十分じゃない?
”顧客が本当に求めていたもの”って割とこれなのかもしれないな。

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バリエーション豊かな作品が多くてとても面白かった。
東京都現代美術館はレストランのパフェが素晴らしいと聞いたので、次は朝鮮史に行ってみたい。

TCAA 2019-2021 受賞記念展 4/14

現代美術館でやってた無料展示。東京都とトーキョーアーツアンドスペースが行っているTokyo Contemporary Art Awardの受賞記念展。今回は2人の作品が展示されていました。www.mot-art-museum.jp

 

下道基行「14歳と世界と境」

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14歳(なんでこういうの14歳なんだろ。エヴァかな)に、自分と世界との境界をテーマに短いエッセイを描いてもらうプログラム。
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日本だけでなく、中国と韓国でもやって新聞で連載したり、冊子にまとめたりしてた。美学ではなく理論系の人ね。

まあ試みは面白いけど、それって「美術」かなとか、この「作品」の作者は14先の少年少女達ではないのかなとか考えてしまう。そういう作品集としてはいいけれど、美術展としてはあんまり面白くない。

これがアートならSF短編集だって現代アートになるのかな。

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風間サチコ「国粋的アイドル(富士山)」

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版画と、その版木を組み合わせた作品。ぱっと見ただ組み合わせただけかなと思いきや、よく見るとだいぶ違う。上の絵を刷り終えた後、版木をさらに彫り進めたようだ。雲の部分とかだいぶ彫られている。

下の部分は木なので彫ることはできても元に戻すことはできない。中央の英字の部分などは黒く塗りつぶしてるだけで、よく見ると英字は上と同じものが彫られてるのがわかって面白かった。

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風間サチコ「新秩序」

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世界の底が抜けたような絵。巨大な水栓を抜いて河から水が抜けて行く。

世界の新秩序とはなんだろうか。この人の作品は不穏なものが多いので、これも決してユートピアが訪れるわけではないのだろうなと思ってしまう。水が枯れてマッドマックス怒りのデスロードみたいになるんではなかろうか。

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風間サチコ「肺の森ーLINDENBAUM」

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昔話の恋物語のような絵。背景の木のようなものはレース襟のようにも見えるが、よく見ると逆さまになった肺の毛細血管とわかる。こういう風に肺をデザインした版画作品が何枚もある。

肺をテーマにした一連の作品群。

最初に世界観の説明のような解説があるんだけど、全然意味が読み取れなくて???てなった。とあるクラシック音楽の話をしていたはずがとある男の半生や死に様の話になって、映画の話なのか小説の話なのか数回読んでも理解できなかったので諦めた。

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風間さんの作品は大きくて思い切りがよく、勢いがあって好きだな。