人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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ちょっとスカスカ 明治神宮ミュージアム  4/12

宝物殿から20分くらい歩いて明治神宮ミュージアムにも行ってきた。

www.meijijingu.or.jp

建物は隈研吾の設計で、かなりすっきりとしてかっこいい建物です。外側は黒で森に溶け込む感じ。内側からは大きな窓から森が見えて開放的。縦のラインが強調された明るい室内はさすが隈研吾という感じ。

 

ただ、展示内容はなぁ……入場料が千円なんだけれど、それにしてはボリュームが少なくてがっかりした。500円くらいじゃない?適正料金。

一階は明治神宮の紹介。なりたちから紹介するので、明治天皇葬儀の行列模型から始まるのちょっと面白かった。いきなり葬式から始まるって景気悪すぎて笑える。
そのあとには建設時の計画模型や、現在の祭祀の情報などが続いてなかなか興味深い。
二階にあるのは正直公式サイトに載ってあるもの以上のものはないので、プラスアルファがなくても実物が見たいよっていう人にしかお勧めできないなぁ。

 

 

エドアルド・キヨッソーネ「明治天皇御尊影/昭憲皇后御尊影」

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イタリア出身のお抱え外国人が描いた肖像画明治天皇は写真が嫌いだったので、カーテンの裏からのぞき見をして描いたものだそうです。
明治天皇の肖像や写真はそれなりにあるけど、修正バリバリで本人には似ていないっていうよね。どの程度似ていたのだろうか?

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六頭曳儀装車

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行幸等で使用したという馬車。
なるほど、どの角度から見ても隙のない美しい装飾です。屋根につけられた鳳凰?のお尻まできっちり仕上げていてさすがだなぁと思いました。あちこちから群衆に見られるもんね。
また、車輪につけられたサスペンションがしっかりしていて赤黒の引き締まったデザインでイケてると思ったよ。

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昭憲皇后のどれす、このポスターに載ってるのが全部だった。さみしい。あと着物とか錦絵とか直筆和歌とかあったけど、もっとドレスが見たかったよう。
城金のドレスが特によかった。胸元にループが2つあって、お花でも刺したのかなと思った。ピンクのドレスもここまできれいに色が残ってるのすごいなぁと。

 

すべての展示の開設が、皇族をたたえる感じの文章なのが面白かった。
全部興味深くばあるけど、でもやっぱりちょっと値段のわりに展示が少なすぎるなぁ。

建物の不思議が過ぎる 気韻生動展 4/12

明治神宮ミュージアムに行くぜぇ~~と意気揚々と家を出て、たどり着いてしまったのがこちらの巨大な建物。

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東洋趣味というか、アールデコというか、エキゾチックな巨大門つき。なんかインドネシアの神みたいなのが口からわっかを下げている。なんか穴が開いてて鈴になってそうな気がするのだけれど、どういう時に音が鳴る装丁なのかわからない。

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もうでかすぎて全体を写真に収めることができやしない。


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左右はなんか復旧工事中?

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よく見ると屋根は瓦。でもこのカーブ、普通は青銅とかで葺くやつじゃない?変態的だな。

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石造りなのに校倉造。意味あるのか?デザインだけだろ。

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石造りなのに高床式。これ、重量的に持ち上げるのすごい大変そう。

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というわけで、間違えてたどり着いたのは明治神宮宝物殿です。

www.meijijingu.or.jp

内部は全く柱のない30m×15mの巨大な木造空間。体育館みたい。鉄筋コンクリートだからできる作りだろうな。
ものすごく不思議な建物です。どうしてこんなデザインになったんだろう?と想像するだけで面白い。

jingu-artfest.jp

行ってみたら無料で展示やってて、めちゃくちゃよかったし撮影もほとんど可能だしで最高だった。

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土屋 仁応「鹿」

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あ、前銀座で見た人だ。
この人好きです。何が好きって、足先がピンクのところが好き。
すらりとしてまるで心中か夢の中の生き物のようだけれど、足先を見ると生きているんだなぁって思うところがめちゃ好き。
明治神宮という神域にふさわしい作品だと思う。

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secca「A⇔UN」

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きゃわわいいいい~~~~
後ろに鏡があって照明が反射して、奥行きがすごくSFみたいになってるのもめちゃくちゃエモくていい。でも写真はめちゃくちゃ撮りにくい。
パズルのピースを組み合わせたような狛犬の像。めちゃくちゃかわいくていい。ぜひ実物を見てほしい。写真じゃよさ全く伝わらない。

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保井智貴「untitled(IGH2)(IGH1)」

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順路に従って作品を見ていくと、角を曲がってまっすぐに飛び込んでくるのがこのわんこちゃん。ずるい。これはずるい。何だこのわんころりは。ハートわしづかみじゃないか。キュン死したらどうしてくれるんだ。逮捕。逮捕だこの野郎。

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取り乱しました。
実物大の2わんこ、めちゃくちゃかわいらしい。すごくいい。もういいしか言えない。ごめん。

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須田悦弘「雑草」

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巨大なケースに作品名プレートだけがあって、何これ?と思ったらこんなところにオオイヌノフグリ。か~わいい。すごくいい。

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いや~思いがけずめちゃくちゃよかった。今年の秋には左右の渡り廊下も修復工事完了するとのことなので、そうしたらまた行きたいです。この建物面白すぎる。

私はあっても良い派です 電線絵画展 4/6

練馬区美術館に行ってきたよ。
今回は日本近代絵画における電線、電柱に関する展示です。 

www.neribun.or.jp

2014年ごろ、無電柱化を推進する団体が葛飾北斎の赤富士に電柱や電線を重ねたヴィジュアルでキャンペーンを行っていたことを覚えているだろうか?

prtimes.jp

電柱の是非はおいておいて、このヴィジュアルがめちゃくちゃカッコイイことが話題になってしまい、キャンペーンがグダグダになってしまった。そのせいか現在このキャンペーンサイトは消えており、「電柱赤富士カッコイイ!!」というニュースサイトしか見られなくなっている。まあ実際電柱赤富士がかっこよすぎるから悪い。もっと見た目が悪くなるビジュアルにするべきだったよね。
無電柱化自体は悪くないと思うんだけどね~地震とかでも意外と電気より地下管のガスのほうが早く復帰する場合もあるらしいからさ~見た目より機能でどっちがいいのか判断してほしいよ。

 

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ともあれ、電線絵画です。
日本で初めて電線が建ったのは1854年。ペリーが電信機の実験で横浜の野毛に電信線を引くために建てられたものだそうです。
その時に関わった幕府の役人が残した写生が残っていました。すごいな。よく描いたな。
最初の電柱は、電話線でも電気線でもなく電信線用だったんですね。電話の発明が1875年、エジソンが電気供給会社を作ったのが1882年なのでそのそもペリーの時点では電話や電機というもの自体がなかったことになります。
確かに電柱って「でんしんばしら」っていうよね。電信用の柱だから電信柱なんだね。そんなこと考えたこともなかったよ。
おもしろい!
最初に公衆電信(電話じゃないよ)がひかれたのは1869年に横浜築地間だとか、1887年に茅場町発電所が作られた(しかも火力発電。煙とかすごそう)とか、いろいろ勉強になる展示ですごく楽しいよ。

 

でも、公式ポストカードに僕の好きな絵が一個もない!ので全部パンフからだよ。

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川瀬巴水「東京十二題 木場の夕暮」

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電柱・電線のある浮世絵。めちゃくちゃカッコイイ。
この作品は1926年の制作とのこと。このころには普通に街中に電線はあったはず。
写実的に描けば当然こうなるし、低い街並みに高い電柱はコントラストとなってとても美しい。夕焼けに映えるシルエットも素敵だけれど、水面に映る電柱がコントラストとなってすごい素敵だよねぇ。

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岸田劉生「代々木付近(代々木付近の赤土風景)」

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1915年。新興住宅地に建てられた電柱。
彼は電柱を発展や都市部の象徴として描いているけれど、同時代に同じ場所を描いた画家の中には電柱をあえて描かない人もいたのだという。そういう人にとっては、すでに電柱が「醜い」ものだったのだろうか。

明治時代の錦絵では電柱は文明開化・発展の象徴として、新らしい東京の名物として誇らしげに描かれていたのに、どうして疎まれる存在になってしまうんだろうねぇ。

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山口晃「演説電柱」

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こちらは2012年、平成24年の作品。寺社のような屋根付きの電柱に演説台が意外と日憂いところについている。それを聞いている人、演説の順番待ちをしている人。ともに着物の人もいれば背広の人もいて、昔のような未来のような不思議な絵となっている。
小松左京のSFみたいでいいねぇ。

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朝井閑右衛門「電線風景」

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1950年ごろの作品。電線のある風景、というより電線がメインである絵。サインペンで描いたような風景のほとんどを電線が埋め尽くしている。
どんなにリアルに描いてもさすがにこんなに電線ないだろ~~と思いながら見ていたのだけれど、美術館を出て街に出たら普通に電線だらけでこんなもんだっけか?と驚いた。普段どれだけ無意識に見ているかってことだな。

それでも昔の絵は現在の街並みよりも電線がすごく多い。腕木がものすごく多かったり、ハエタタキのようなデザインになっていたりする。多分電信線があったりだとか、今みたいに線をある程度まとめて通したりしていないからだと思う。

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電線、普通にかっこいいなと思った。
普通に考えたら昔より今のほうが電線多そうなのだけれど、どう見ても昔のほうが多かったりするのが面白かった。
世界的に言えば無電柱化は進んでいて、日本は電柱が非常に多い国になっているのだという。とはいえそれは日本の電線が非常に安全だからということもできる。もちろん工事の難易度や耐震性、災害時の復旧の難易度など、無電柱化に対しては考えるべきことがたくさんある。
こういう展示を見て楽しいなと思うこととは別に、美的感覚だけで電柱の是非を議論すんじゃねえよって正直に思うよ。

私だけの世界 アーティストたちの室内画 町田市立国際版画美術館 4/4

町田駅から歩いて20分くらい。芹が谷公園の中にある町田市立国際版画美術館、二回目。最近ダイエットを強制されているので、歩いて行って来たけどやっぱり坂がすごいすごいえぐい。
公園はちょうど新緑の季節でものすごくきれいだったよ。でも坂がえぐい。

hanga-museum.jp

今回は「室内画の版画」というなかなか変わった切り口での展示です。18世紀から現代作家までの幅広い期間、画風も様々なものが見られてお得な感じ。

 

シャルル・フィリポン「まあ、いとこに冷たくしろっていうの?そんなこと私好きじゃないのを、よく分かってるでしょ」

f:id:minnagi:20210412194731j:image1870年ごろの、個人コレクター向け版画がはやっていたころの作品。
タイトルは長いけれど状況が一気に想像できる。憤懣やるかたない夫に涼しい顔をした妻。知らん顔でくつろいでいる従弟、という設定のだれか。フランス人は本当にコキュが好きだよねぇ。

妻の服装もとってもかわいくて好き。

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マックス・エルンスト「慈善週間、または七大元素」より

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エルンストがいっぱいあったぞ!!!!
私、エルンストすごい好き。何かものすごいものを見ている気になる。絶対に見てはいけないもの。内緒の秘め事。人の世界とは違う道徳のもの。そういうものをこっそり見てしまった気持ち。見たくて見たわけではないのにという焦り。それでも目を離せない恐ろしさ。おそらくは全く何の問題もない普通の絵からとられたイメージを重ね合わせるだけで、どうしてこんな世界が作れるのだろうか。

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マックス・エルンスト「慈善週間、または七大元素」より

f:id:minnagi:20210412194735j:image先ほどと同じタイトル。というか、同じ本のために作られた作品群。

厳重な門の前に立つ鳥頭の紳士。ものすごく不自然なはずなのにめっちゃスタイリッシュで最初からこうだったかのような自然なスタイルに感じる。どう見ても知的なジェントルマンだ。扉の中央にある円盤は、こちらをのぞき込む別の異形の頭なのだろうか。足元にあるのが一体何なのか。生き物なのか、段差の表現なのかすらわからない。
不思議の国のアリスに出てくる魚とカエルの召使みたいだな。それよりずっとかっこいいけど。

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長谷川潔「薔薇とハートの1(未完成)」

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長谷川潔が見れるとは思わなかったよね。この人のメルヘンな世界観、好きです。
このレースの表現がすごい特殊な技法を使っていて、他の誰にも方法を明かさなかったからロストテクノロジーになっているそうです。そうなの?よくわからない。
みかんっていうのもよくわかんないな。十分に完成されているような気がするんだけれど。

他にも意外なところで、ベルメールが見れたよ。

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モーリス・ドニ「『愛』より」

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とても親密な雰囲気の絵。室内画なのか?まあ下着っぽいし窓のサンも見えるけれど。
妻のマルトに対する愛をつづった日記からとった文章が添えられているそうです。
パット見何が描かれているのかわかりづらいほどぼんやりとした絵。とても弱いコントラストで儚い世界を表現しています。百合の世界みたいだよね。

 

室内画、といっても人物画や風刺画、静物画とばらばらのジャンルでした。その中で共通しているのは、親密さ。親しい間柄の人たちだけで作られる穏やかな世界。たった一人でくみ上げる寂しい世界。そのどちらにも閉じた親密な安定感があって、見ていて落ち着く作品が多くてよかったです。

今回の室内画に対して、次は風景画の展示をやるそうです。京都人が見たがってるから、たぶんまた行くと思う。

ちょっと消化不良 絵画のドレス|ドレスの絵画 3/23

 神戸ファッション美術館東京富士美術館のコラボ展ということで八王子まで行ってきた。ちょうど桜の時期なので、八王子の山中はなかなか見事。

www.fujibi.or.jp

本物の時代衣装と、当時の家具調度品。そして同じ時代に描かれた絵画とを展示するという試みは非常に豪華で興味深いものでした。もちろん絵画と衣装は全く同じものではないんだけれど、スタイルや色などかなり近いものを並べていて非常に勉強になる。特にナポレオン戴冠式の絵画とレプリカドレス、そして本物のジョセフィーヌのティアラが展示されていたのはこの2美術館が協力してこそだなぁと感心しました。

けど、やっぱり服が見にくいよ~そこどうなってんの?てところが多すぎるよ~
あとパンフレットが薄い!図録って厚さじゃないよパンフレットだよこれじゃ。ドレスの正面写真じゃなくてせめて後ろからの写真も載せてくれ。できれば横からのも頼む。

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「ローブ・ヴォラント」1730-35年ごろ フランス

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18世紀のドレス。贅沢に布をたっぷりと使ったガウンのようなデザイン。背中部分の「ヴァトー・プリーツ」と呼ばれるタックが特徴的とのことでしたが壁を背にこういう座り方をしているマネキンなので見えず。
これさぁ…これ全然わからないよ…背中どうなってるの?打ち合わせの下どうなってるの?スカート部分どうなってるの???

これはさすがにもう少し展示を工夫してほしかったです。

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「シュミーズ・ドレス」1800年ごろフランス、イギリス

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ジャン・フランソワ・ボシオ「バドミントン」

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これはすごくよかった!
同時代の絵画と衣服とを並べ、同じポーズをとらせているの。めちゃくちゃわかりやすかったです。
胸の下と襟ぐり、そして袖のところをひもで引き絞り結んで着付けをしています。ファスナーとかない時代だから開きはスリット状になっているのだけれどそういうものらしい。スカートの下にはペチコートを着ているようですが、上半身の下着は不明。来てないことはないんだろうけどマネキンだから省略したのかなぁ。

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「プロムナード・ドレス」1880年ごろイギリス

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エドゥアール・マネ「散歩」

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おんなじ…おんなじ服や!!!!手興奮したけどよく見ると首周りのデザインとか違う。ていうか、マネの画風だと荒いのでよくわかんないねそもそも。でも当時の流行服なんだなぁということが良くわかります。
展示されている女性服の大部分に言えることなんですが、ワンピースだかツーピースだかわかんないんだよねぇ…上半身も下半身も、そしてペチコートも同じ布でできている。そして恐ろしい量のタックとプリーツで全身が覆われている。
どこからどこまでが一つのパーツなのか全然わかんない。前開きなのか後ろ開きなのかすらわかんない。
手に取って見たいなぁ。

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ジョルジュ・クロエガート「夫人像」

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こちらは東京富士美術館所蔵の絵。前にも常設展で見たことがあります。
今回新たに追加された開設によると、この状態は着替え中、いわば下着姿なのだとか。探せば同じドレスの絵もありますよというので検索してみました。

commons.wikimedia.org

www.meisterdrucke.jp

たしかに、オーバースカートを着ている絵が見つかりますね。でも上半身はどうなんだろうなぁ。肩紐、着替えた後のほうが細いからこの絵の上に何か来ているというよりは着替えている感じに見えるけれど。ボディスだけ変えて変化をつけたりもしたんだろうか。

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全体にすごく面白くてきれいでいいんですけど、だからこそもうちょっと!もうちょっと何とかならんのか!!!!って思うところがあまりに多かった。
わからん。俺は服のことは何もわからん。
神戸ファッションミュージアムさんは、動画DVDを販売してほしい。マネキンが下着から着付けをしていく様を動画に保存して見せてほしい。

www.bodybook.jp

こういうのがすべてのドレスに対してみたいんですよ!!!!
でも実際わからないんだろうな~ドレスは残ってても下着とか残ってないのかもな~
めちゃくちゃ気になる。

ノブリス・オブリージュを言い訳にした趣味 前田利為 春雨に真珠を見た人3/14

雅叙園から近い目黒区美術館に行ってきた。
mmat.jp

前田利為というのは旧加賀藩主、前田家の第16代当主である。東條英機と同期の軍人であり、侯爵でもあったらしい。芸術に造詣が深く、歴史的な作品だけでなく同時代のもの、そして当時の芸術家に発注した美術品からなる彼のコレクションは、ノブリスオブリージュの一環でもあったらしい。

文化保護に軍務にと活躍した前田利為は最終的に戦地で行方不明になるというなかなかドラマチックな生涯をおくっている。

そんな前田家がなぜ目黒に所縁があるかというと、もちろん住んでたからだ。元々は本郷に住んでいた前田利為だが、そこに東京大学を作るから立ち退いてくれと言われて代わりに提供され移り住んだのが目黒区駒場にある今で言う旧前田侯爵邸。設計が宮内省内匠頭であるあたり、結構有利な交渉をした気配がある。

前田侯爵邸行ったことないんだよね〜

 

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フランソワ・ポンポン「パン」

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のっけからパンフ写真。

こういう公民館的なところでやる小さな展示は量の割に安いという利点があるのだが、一方でグッズが少なすぎると会う欠点もある。特にこういう和洋混合の展示だとポストカード類は和物に偏る傾向にあり、要するに私がいいなと思った作品のグッズがあった試しがない。

フランソワ・ポンポンのシロクマとガンがありました。やはり可愛らしい。滑らかなライン、ユーモラスな抽象化、今にも動き出しそうな重心。家に一個欲しい。

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アルベール・ギョーマン「湖水図」

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ささっと走り描きしたかのようなタッチの絵。紅葉と湖水の深い青との対比が美しく、明暗の強さもあってドラマチックではありますが、空の抜け感が爽やかな印象になる作品。

自然を描いた作品が多かったと感じました。

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あとはパンフに部分図しかないのでパスしますが、ピーテル=フランシス・ピーテルス「月光」が好き。ロシア絵画のようなメルヘンの強いロマンティック。輝く夜の水面が美しい作品です。

ちょっと作品少ないけど趣味の良いコレクションでした。

あと、前田利為のお孫さんのインタビュー動画が流れてたのだけど、岩崎彌太郎のことを「岩崎さん」って気軽に呼んでて御大臣様(本物)はすげーな!て思った。

ど派手結婚式場 百段階段の縁起物 3/14

ホワイトデーだけどダイエットをしないといけないので和食レストランに行きました。その天井に貼られていたこちらの絵。

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約90年前の門井掬水と言う人の絵だそうです。

門井掬水 - Wikipedia

というわけでここは日本で一番トイレが派手なことで有名な目黒雅叙園です。
雅叙園の中の百段階段という木造建築は昭和初期に建てられた日本初の総合結婚式場で、国の重要文化財になっています。レストランのお姉さま曰く、全国から集めた職人に金に糸目をつけず、好き放題やらせて作らせた豪華絢爛たる建物で、当時は「仕事がなければ雅叙園に行けば仕事をもらえる」と有名だったのだそうです。
雅叙園の他の部分はもう当時の面影は残っていないのですがバブル期に現代的に改修されて率直にいうとアホみたいに派手になっています。トイレ内に川が流れて橋がかかっていたり、建物内に茅葺の日本家屋があったりする。なんだかんだあって今は外資の会社が建物を所有してたり、ここを使用してるウェディング関連会社が倒産しかけたりしてるけど大丈夫かいな。

今回は「百段階段の百の縁起もの」というイベントをしていたのでしばらくぶりに行ってみました。

www.hotelgajoen-tokyo.com

壁画、天井画、調度品、そして建物自体と見どころが多すぎて脳がつかれる。

ちょっと順不同に出してみたい。

床の間の柱というか蹴上?なんていうんだろ。見事な螺鈿。 

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こちらは廊下のガラス障子。縁起ものである瓢箪をデザインしているそうです…よくわかんないけど、まあ言われてみればそうかな?

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階段上部にある清方の間の入り口。富士山がすらりとした線で描かれている。かっこいい。

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格の高い部屋には、廊下からわきに伸びる通路を進んだ先、部屋の入り口にこうして屋根を模したものがついている。

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どの部屋も障子がめちゃめちゃ細かいから見てほしい。ビビる。
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荒木十畝 「五位鷺

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十畝(じっぽ)の間の天井画。ほとんどの部屋は講師天井になっていて、こうして見事な花鳥図が設置されています。いろいろあったけどこれが一番かっこいい。


漁礁の間、柱
菊池華秋による美人画

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下から2番目の部屋なので多分格的にもそんな高くない部屋ですが、派手さでは一番の漁礁の間。趣味が悪いっていえば悪い、ぎりぎりのライン。

尾竹竹坡(おたけちくは)原画・盛鳳嶺(さかりほうれい)彫刻

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天井も彫刻だし欄間も彫刻。彫の重なり、えぐい。

 

小山大月「静水(せいすい)の間、欄間」

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漁礁の間よりずっと地味というか落ち着いているけど、明らかに格式の高い部屋。こちらは次の間(控室)。

池上秀畝「天井画」
小山大月「欄間」

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奥の間はぐっと華やかでわかりやすい吉祥図です。


鏑木清方「清方の間 欄間」

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さっき入り口だけ出した清方の間、あの鏑木清方が天井画、壁画を担当しためちゃ豪華な部屋になっています。

鏑木清方「天井画」

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天井の組み方も豪華だし、すごい変わったデザインです。

 

とにかく派手すぎてホエーってなること間違いなしです。
大体いつも和系の展示をしているけれど、当然建物自体は変わらないのでこういった建築装飾はいつでも確認できます。
だけど展示内容によっては写真撮影は不可なので、撮影をしたいなら確認していくべき。
あと、雅叙園内のカフェは予約しないととてもは入れないからそれも要注意だよ。