人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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抽象は哲学 坂田一男 捲土重来 12/15

ステーションギャラリーに行ってきたけど、なんか変な感じだった。
いつもよりちょっと安いし、図録が製作中ということで予約のみだった。売り切れというわけじゃなくて、まだできていないみたい。何かトラブルがあったのだろうか?

www.ejrcf.or.jp

 というわけで、坂田一男展。このポスターを見て「かっこよさそうだけど意味わかんないだろうな」と思って出かけたら、思っていた以上にかっこよくて完璧に意味わからなかったw

f:id:minnagi:20191216165627j:image

左右同じ構図だが、左のほうは右のほうの下絵である。たぶん。
今回の展示は、完成作品に対して複数の下絵、色付きの完成図に近いものやデッサン段階のものが見れて、抽象画ってこういう風に作るんだなぁという過程を楽しめる。
しかしそもそもの、どうやったらそんな構図が思いつくんだというところは謎のままである。

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キュビスム的人物像」

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キュビズムキュビズムしたキュビズムキュビズムってそもそもは複数視点の統合とか言ってなかったっけ?そういうのはもういいの?ってほどのキュビズム
まぁ、時代だね。流行ったもんね。ちょっとピエロみたいで可愛い。
この横にあった、三日月を組み合わせたような人物画も好き。

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コンポジション(メカトニック・エレメント)」

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かっこいいね。コンポジションという抽象画、というよりも色とリズムを楽しむ絵画を、具象である機械部品で構成している。
とはいえ具象とは言いつつ一体ったい何の機械なのかもわからず、質感も金属的とはいいがたい乾いた画面だ。やはりこれは抽象画なのだろうと思う。

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「構成」

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錆に覆われたような画面。
この絵を描く前、彼のアトリエが水害に襲われ、保存していた作品の多くが破損したのだという。そういった破損したものを再構築した作品もたくさんあった。先頭のポスター画像もそうですね。それ以来、こうした破損したかのような作品が増えたのだとか。
精密な世界を破壊するものが侵入してくる様が描かれています。
なんか、ディストピアSFみたい。

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「コンパス」

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かーわーいーいー
可愛い。ロビタみたいにかわいい。でもコンパスってこんなんだっけ?こういうデザインのものがあるのか、坂田が再構築した結果こうなったのか。もしくは赤い部分はコンパスじゃないのかな。それが手で持っているものがコンパスなのかな。だとしたらまあわかる。
ともあれ、かわいいから良いのだ。

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コンポジション

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 特別丁寧に作りこまれた画面。
この中央に置かれたものが何かというと手榴弾なのだそうです。
なんで真っ白なんだろうね。爆発するときの光で白く見えたりするものなんだろうか。

画面を侵食する錆
境界線を描くコンパス
内側から殻を破壊して爆発する手榴弾

これらすべてのモチーフが、「内側」と「外側」の関係を表すものなのだそうです。
なるほどねぇと思う。

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というわけで、なかなかよくわからない展示だった。
わからないなりに文脈や他の画家の作品との対比をしたりと、美術館側の工夫を感じる展示だった。その助けがないと完全にちんぷんかんぷんだったと思う。
坂田以外の作品では一枚モランディがあって、そのぬるぬるとした画面がとても美しくおもしろいなあと思いました。

 

どうでもいいけど、このステーション美術館出た後が毎回結構困る。
小一時間も歩き回って頭を使えば結構つかれるのでお茶したいのだけれど、近くに空いている喫茶店がないんですよねぇ。東京駅だから。どこもくそ混んでる。
しょうがないので近くて比較的すいているステーションホテルのカフェに行ってしまうのだけれど、本当はもう少し手ごろでお行儀良くしなくても許されるところに行きたいです。
なんかあったら教えてほしい。