人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【ネタバレ感想】あなたに似た人1

書籍データ

  • タイトル:あなたに似た人1
  • 作者:ロアルド・ダール
  • 訳者: 田口 俊樹
  • お勧め度:★★★★

収録タイトル 

f:id:minnagi:20191124232405j:image

 

 

私が招かれたある家庭の主人はお金持ちのワイン通。同じく招かれた中年男性の美食家とワインの銘柄当てクイズをするのを楽しみにしていた。
いつものように主人がワインの農園あてクイズを行おうとすると、美食家は銘柄を当てたらその家の娘と結婚させてほしいと言い出す。親子ほどに年の離れた娘は嫌がるが、代わりに美食家が賭ける2件の家に目がくらんだ主人は、娘を説き伏せて賭けに応じることにするが…

おとなしい凶器

警察官の妻は、仕事から帰ってきた夫に突然離婚を切り出される。
何とか思いとどまらせようと説得するうちに、冷凍庫にあったラム肉で夫を殴り殺してしまう。さて、この罪をどう逃れようかと考えた妻は…

南から来た男

とあるリゾート地のプール。南の、ラテン系訛りを持つ老人と隣席になった私。そこにアメリカ人の青年が現れる。タバコを吸おうと青年に火を借りたとき、「このライターはどんなときも絶対に火をつけることができる」という言葉に老人が反応する。
「もし私の部屋で十回連続でライターの火をつけることができたら、高級車をプレゼントする。しかし一度でも失敗したら、小指を一本切り落とす」そんな老人と青年の賭けの立会人となった私は…

再読

兵士

あんま印象に残らなくて覚えていない

わが愛しき妻、可愛い人よ

トランプゲームの賭けが大好きな妻。ゲームをするためだけに、知人夫妻を家に招いては、その二人がどんなに嫌な人間かをぶつぶつ文句を言っている。いくら不愉快な人間でも、ゲームができるなら有用ということだ。
彼らを家に泊めて賭けゲームをする日、妻は夫に客間に盗聴器を仕掛けるようにそそのかす。
その夜、盗聴器から聞こえてくる会話は…

プールでひと泳ぎ

船旅をする男。その船では毎晩、「今から翌朝までにどれだけ船が進むか」という賭けがイベントとして行われていた。嵐の晩、今日はほとんど船は進まないと見込んだ男は、大金を「予定より大幅遅れ」に賭ける。しかし翌日目が覚めると嵐は過ぎ去り、船は快調に進んでいた。
これでは賭けに負けて大金を失ってしまうと思い詰めた男は…

ギャロッピング・フォックスリー

いつもの通勤電車。いつもの通勤客。快適な通勤風景に、ある日新しい男が現れる。
どうにも不愉快な新しい男を見るうちに、学生時代の悪夢を思い出す。

皮膚

落ちぶれてホームレスになった男は画廊の前を通りかかり、昔の知り合いが有名画家になっていたことを知る。思わず画廊に入り込むが、画廊主たちに追い出されそうになる。「自分だってこの画家の作品を所有している!」と叫んで服を脱いだ男の背には、有名画家がかつて描いた見事な刺青が存在した。
その刺青をいかにして手に入れるかと騒然となる客たちのうち、ある男が魅力的な提案をする。

ある晩帰宅すると、同居人の男の様子がどうもおかしい。
彼が言うには、寝ているうちに猛毒を持つ毒蛇が布団の中に入り込み、体の上に居座っているのだという。恐怖に震える男を助けるため、慌てて呼びつけた医者と共に彼を助けようとあの手この手を繰り広げるが…

願い

少年は家の中で一人遊びをしていた。カーペットの赤い部分は溶岩、黒いところは毒蛇、黄色いところだけが安全地帯。そう見立てて廊下の端まで渡り切ろうとする少年は…

再読

ある日突然爵位を継いだ男。彼をめぐる婚活争奪戦を勝ち抜いたのは、ぱっと見は美人だがなかなか品のない女。
ある日その屋敷に招かれた作家は主人と散歩中、彼女が同じく招待客の一人といちゃついているのを目撃してしまう。
ふざけて庭に展示した彫刻の穴に首を入れた彼女はその状態で浮気相手とキスをしていたが、穴から首が抜けなくなってしまう。
彼女を助けなければと向かった私と主人は…

 全体感想

面白かった。既読が2編。いまいちなのが1つ。
お化け的なものは出てこないけれど、広義のホラーなのかしらね。
短い話だしオチが読めるものが多いのだが、それでも語り口が鮮やかで読んでいて気持ちが良い。どれもこれも人の悪意が上品に露出する、ただの露悪趣味とはまた違うスマートさ。