目黒区美術館に行ってきた。ここは坂をひたすら下って行った先にあるので、行きはよいよい帰りは恐いである。東京の坂はマジきつい。
Wikipediaには太田喜二郎のページがなかった。藤井厚二のページはあったけど写真がないので今回は割愛する。
共に明治~大正時代の人です。太田は黒田清輝に師事し、他の生徒がフランスなどに留学する中で黒田に勧められベルギーへと留学し、エミール・クラウスのもとで点描を学びます。
クラウスは光に非常に強いこだわりを持っており、対象をあえて逆光においてその影を描くことで光を表現したりしていたそうです。
「どうしてもクラウスのように書けなくて、自分の目には先天的な欠陥があるのかと悩んだ」
というエピソードが紹介されており、なんかわかるよそれ…って思った。
そうやって点描をマスターした太田は帰国後、日本の風景を点描で描き始めます。しかしそのうち点描を放棄し、新しい洋画を作り出すのです。
やっぱり国によって光って違って、表現するにふさわしい方法も違うんだろうね。
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太田喜二郎「風景」
すごくいい絵だと思います。木々のリズム、光と影の対比、木洩れ日。強烈な光に白茶けた木の肌。どこまでも続く小川。
からりと涼しく強烈な夏の世界。こういうところに行きたいなぁと素直に思います。
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太田喜二郎「雪の朝」
1枚だけ写真撮影可能でした。印象派のお手本のような絵。
この聖堂の絵を季節を変え時間を変え、何度も描いていたそうです。そういう描き方も、印象派っぽい。
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太田喜二郎「樹陰」
留学時代に描かれたものは、本当にきれいです。点描と言いつつも筆の方向がそろっているわけでもないし筆致も細かいので、そんなにザ・点描みたいな感じはしないです。
けれど澄んだ色が並べられると光の強烈さ、グラデーションのないきっちり塗り分けられたような世界が違和感なく受け入れられる。
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太田喜二郎「田植」
なんだけど、日本に戻ってから風景を描いた点描は、全然魅力ないんだよね…なんか、違和感がすごい。なんだろうな。人の服の色が濃いから点描画法でうまく表現できないのかな。水田なんだけど、水の感じとか全然わからない。
世界全体が明るく、リアルに白飛びしているような世界しかこの画法は合わないのかもしれない。どぎつい色は似合わないのかな。
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と、ここまで見たらこの点描を放棄した後の「新しい洋画」が気になるでしょう?気になるよね。
ないんだなポストカードにもチラシにも!!!
いや、チラシにないのはまだわかる。気になったら見に来てね、でしょう。私もこの話を聞いて気になって見に行ったのだから。
でもポストカードないってさぁ。
最低でも留学時代・日本での点描・点描を超えた日本洋画の3パターン出してくれよ。
というわけでもやもやしたあなたは、こちらへどうぞ