人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【ネタバレ感想】黒い家

書籍データ

  • タイトル:黒い家
  • 作者:貴志 祐介
  • お勧め度:★★★★

 

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京都の保険会社に勤める男。ある日職場に「自殺でも保険金はおりるのか」と女性から問い合わせの電話がかかってくる。咄嗟に彼女が自殺しようとしているのではないかと自分の兄が自殺したことや遺族が辛い思いをすることを話し、思い留まるよう説得する。彼の名前を確認して電話は切れる…

その後、男は顧客に指名されてクレーム対応として家を訪問する。異様な雰囲気を持ち、なぜか酷い匂いのする家に入ると色々と理由をつけて襖を開けるように促される。開けた先では、小学生の男の子が首を吊られて死んでいた。

その時の反応から、父親が子供を殺したのではないかと疑う男。異状死のため本社から調査が入り、なかなか保険金の認定が降りずにいると、父親は毎日保険事務所に男を訪ねてきて保険金が下りないと困ると声を荒げるわけでもなく言いつのる。

心理学を研究する男の恋人、その上司である女性教授と一癖ある男性助手。そして本社から来た調査員も交えて男の日常は悪夢と化していく。

 

黒い家、と言われるとどうしてもキングのブラック・ハウスを思い出すし、キングの話に多い悪意を持った場所に留まった人間が影響されて犯罪を犯し始めるような話かなと思ったが全然違った。お化けが出てくる系じゃなくて、単純に狂った人間が怖いホラー。

出版時はちょうど現実に連続保険金殺人が起こっていたとかでだいぶ話題になったらしい。

ストーリーは中盤まではなかなかリアル路線で面白いのだが、心理学や精神鑑定について長々とページを割いて一席ぶってるのは大丈夫なのかなって思う。色々強引な決めつけが多くないか?って流石に気になった。なかなかステロタイプジェンダー感だしなー。

別に意外でもない真犯人から逃げ切ったと思わせてからの再び絶体絶命、は映画みたいでなかなか。終盤で人の死に方が雑になってくのを気にしなければ楽しめる作品。この作者はそういう傾向なのかしらね?