人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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うすら寒い感じ 真夜中の来訪者 8/3

冨安由真の個展がデパートでやってるよって知ったのは終了数日前だったけど、何とかねじ込みで見に行くことができました。

www.jiji.com

期間が短いし、宣伝も足りないよ!もっと早く教えてくれ!!

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「The Midnight Visitors」

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インスタレーション作品。暗くてまともに撮影できない。

去年資生堂パーラーでものすごい行列できてた展示はかなり大掛かりだったので、デパート内でどうやるんだろう?と思ったらこじんまりとした展示になっていた。試着室を使用するというのが非常にデパートらしく、うまく再構築されているなと感じる。

具体的に何があるわけでもない。ぱっと見バラバラの意味をなさないものが隠されている。明確に何かを示すわけでもな、具体的な物語ではなくて「不吉さ」が仄めかされている。
だけれども感じるのは恐ろしさだけでなく、この中で丸くなって眠り込んでしまいたくなるような、奇妙な安心感がある。

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「MultipleEyes(Sweet Bug)」

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この絵好きです。

油彩とは思えないような、下書きといってもいいほどのあっさりした描き方。正確な造形。クラシカルな衣装。これらは明らかにヴィクトリア朝時代の写真をイメージしている特に、当時流行したオカルト写真を。
あの頃のオカルトというのはホラーというよりは、医学が未発達で戦争もあり、身近な人の死に近しい時代に、愛する人にもう一度会いたいという願いから生み出されたもの。
だから怖いというよりは悲しく、せつないのだろうと思う。

オカルトをイメージしてその文法に乗っているだけで、作者が霊能者だったりは当然しないよね。というかこの人は作品を見る限り普通に健全な精神状態の持ち主のように見える。(草間彌生さんとかは見るからにじゃないですか。そういうのがない)(自称霊能力者がなんか言っているのをネットで見てしまったらしい)

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「Girl With Eyes」

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上の絵は素直にいいなぁと思ったんだけど、こっちの絵は見た瞬間「ふふっ」てなってしまった。ここまでくると、面白さのほうが先に立ってしまう。
のだけれどその「ここまで」って自分で引いたラインって何だろうなぁと考えてしまう。不気味の谷的な、面白さの谷って何だろうな。
でもこれは、オモシロでしょうよ。

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「Siblings in Dantelions」

f:id:minnagi:20190805121621j:imageすごくきれいな絵。単純にきれい。そして怖い。
これは切ないというより怖いですね。ホラー映画みたい。タンポポの茂る草原のはずが、沼に引きずり込まれそうな気がする。この兄妹がこの世ならざるものに見える。
キングの小説みたいだ。

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「Old Man (The Smoke)」

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これが一番いいなぁと思った。
鼻からエクトプラズム出ている老紳士。鼻提灯おじさんじゃないよ。
大きさもほど良くてほしいなぁと思ったのだけれど、売約済みだった。というか、ほとんど売約済みだった。

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この人の絵は好きなので欲しいなぁと(値段は無視して)言ってみたら、京都人に
「でもさ、この人の絵が友達の家に飾られてたら遊びに行きたくなくならない?」
って言われた。ですよね!手に入れるのはいいんだけど家のどこに飾るの?って聞かれたら悩むよね!寝室とかには置きたくないよね!

ちなみに、我が家はトイレにゴシック調の額に入れたルドンの笑う蜘蛛ポストカードを飾っています。私の趣味だ。