【ネタバレ感想】クリムゾンの迷宮
書籍データ
- タイトル:クリムゾンの迷宮
- 作者:貴志 祐介
- お勧め度:★★★
今日の猫
仕事をクビになり妻にも見放された男はある日気づくと紅い岩の壁が迷路のように張り巡らされた渓谷にいた。前日まで雪の降る東京にいたはずが、真夏の太陽が照りつける異様な世界に移動している理由については全く記憶がない。
手元には簡易サバイバルキットと携帯ゲーム機。ゲームの電源を入れると可愛らしいキャラクターが表示され、まずは第1チェックポイントへ行くようにと指示される。
意識してが戻るとほぼ同時に知り合った女性は彼に驚かされて自分のゲーム機を破損してしまったという。責任を感じ一緒に第1チェックポイントへと向かうと、そこには同じくゲーム機を手にした男女が待ち構えていた。
なぜここに来たかの記憶が抜けている彼らは、この土地を脱出して日本へと帰るため、ゲーム機の指示に従って行動を開始する。
部長に勧められたので読んだ本。タイトルと表紙は忘れてたけど、読んだらずっと前に読んでたことを思い出した。二度目でも面白く読めたので良書だと思う。
全体としては御都合主義が過ぎるなぁと当然感じるが、まぁ許容範囲だと思う。
最初は訳もわからずゲーム機の指示に従う参加者たちが、全く助け合わないのが不思議だなぁと思う。ていうかそもそも大人しく指示に従う理由も納得はいかない。なぜゲームに参加したのかの記憶もないし、ヒロインのゲーム機が壊れていたために、このゲームに参加した場合のメリットが何も示されないのだ。
よくわからん場所でよくわからんことをしろっていきなり言われて、やってられるかってなる人が全くいないってのはねぇ。
ゲームのモンスター役にドラッグで精神を狂わせた人間を配置するってのは面白かった。
ネタバレ部分としては参加者達は大金持ちの娯楽のためリアリティ番組兼スナッフフィルムを作るためにオーストラリアの閉鎖された公園に閉じ込められていて、ヒロインと序盤にちらりと存在感を示す先生がスパイとなってゲームの方向性を操作しているという設定になっている。
けどこの先生が存在感薄すぎる。最初にちょっとその場を仕切って、最後に狂って食人鬼と化した参加者に殺されるだけ。その殺され方も「話し合ってくる」と自らのこのこ近づいて殺されるっていう……作者、「そして誰もいなくなった」をやりたかったけど先生を設定を説明しつつ退場させるのめんどくさくなったんだろ…
まぁ、細かいことはいいんだよ!って話なので。ハラハラドキドキクリフハンガーは楽しめるし、暴力や食人描写はマイルドだし、読みやすくて面白い本だと思う。、