人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【ネタばれ感想】キドリントンから消えた娘

書籍データ

  • タイトル:キドリントンから消えた娘
  • 作者:コリン・デクスター
  • 訳者: 大庭忠男
  • お勧め度:★

f:id:minnagi:20190624131400j:image

 

2年前、キドリントンの街から失踪した少女。
彼女の行方を捜査し続けていた警察官が事故死する。
遺族にも心当たりのない街に向かっていた彼は、事件について何かつかんでいたのだろうか?
引き継ぎを命じられたモース警部は「彼女はもう死んでいる」と決め込んで捜査に取り掛かるが…

しばらく読書記事を描いてみて、感想文と粗筋とを両方書くの正直つらいなって思った。
粗筋を書くのは備忘録としてそれほど苦ならないのだけれど、つまらない本の場合は正直つらい。何より、ネタばれせずに感想を書くのがめんどくさい。どこがつまらないって具体的なやつ言えないじゃん。
もういいやネタばれ感想で…読書感想文読む人、ネタばれとか気にしない人でしょ……

 

というわけで感想。

つまらなかった!とてもつまらなかった!
この人の本を読むのは2度目なんだけれど、もう読むのやめようって決めるくらいにはつまらなかった!!!
なんでこの本を読んだかと言うと、京都人に勧められたからなのです。
スティーブン・キングが好き
・相棒とか科捜研とかの刑事ドラマが好き
・小説に求めるものは、予想外のストーリー
という好みを聞いたうえで蔵書(持ってるだけで読んだかは不明)から勧めてくれたのがコリン・デクスターでした。
1作目のウッドストック行最終バスでイマイチだなと思いつつ2冊目のこれを読んでみたら、まぁ酷くてひどくて。
予想外なら何やってもいいってわけじゃないんだぞ、と声を大にして殴りたい。

以下、ネタばれ

 

 読んでいて、最初は面白いんです。翻訳文学特有のセンスの良さ、スマートなセリフ、お洒落な文体。
てのを読み進めて行くとだんだん話がグダグダになってきて、主人公モースがひたすらを飲み、を飲み、を飲み、ストリップクラブに行ったりラッキースケベがあったりとお色気シーンを挟み、を飲み、そして捜査は行き詰ってグダグダに終わる。
おっさんの書いた話だなぁって感じが非常に強い。
これ、1作目とおんなじパターンじゃん!

 

モース警部は失踪した少女の操作を「彼女はもう死んでいる」という前提ではじめますが、それには何の根拠もありません
と言うかはっきり本文に書いてあるのですが、「失踪人探しなんて地味な仕事つまらない。殺人事件こそ自分にふさわしい」というだけの理由です。
根拠があるどころか刑事の勘ですらなく、ただの願望です。

部下はちゃんとした警察官なので予断を許さずきちんと捜査をしようとします。家出をする若者はまず都会を目指すものだから、聞き込みをしに行こうとするのです。
しかしモース警部は「彼女は死んでるんだからそんなことをする意味はない!」とそれを禁止してしまうのです。そしてあまつさえ、思い付きで自分が都会に聞き込みに行ったりする。

そう、全てが思いつきなのです。
普通の事件じゃつまらない、自分が手がけるからには大難事件でなければならないという大前提がまずあるので、それをもとに突飛な推理を繰り広げ、当然のことながら全部外れると言うのを丸々一冊使って繰り返しています。酷い。

まぁそんだけ数うちゃあたると言わんばかりに登場人物全員を犯人と疑うので、実は1回だけ推理が当たります。
しかし馬鹿なので「あなたが犯人ですね?」と本人に聞き、犯人は当然「いいえ、私は犯人ではありません」と答えるわけなんですが、何の証拠もなく当てずっぽうで言っただけなのでモースはあっさり引き下がってしまうのです。
だってそれまでも何回も推理はずしてるから、モースも読者もまたハズレかよクソがくらいしか思わないんですよ。
それで最後の数ページで実はそうでしたなんて書かれたって、納得感なんかねぇよ…酷いとしか思わないよ…。

 

どの辺が「本格ミステリー」なのでしょうか。
「現実には小説のような奇怪な事件など存在しないよ」ってところがリアリティなのでしょうか。だとしたら、こんなクソ警部がいるってのはリアリティがなさすぎるのではないのでしょうか。
別に事件を解決しなくてもいいんだ。勧善懲悪でなくてもいい。
例えばフリードリッヒ デュレンマットの「約束」。


これなんか勧善懲悪どころか気持ちの沈むバッドエンドだし、事件もすっきり解決とは言えない。でも、ちゃんと小説として成り立っていて面白い。
モース警部シリーズは2冊読んだけどそういう「小説としての面白さ」が感じられなかった。人気シリーズみたいだからもっと後半の本は面白いかもしれないけど……正直耐えられない。

アマゾンレビューを見ると「バカミスと思えば楽しめる」ってのがあって、それが一番正しいかなぁ。
問題は、私がバカミス好きじゃないのと、作者本人はバカミス書いてるつもりが無さそうだってことですね。

作中でモース警部が有能な警察官であるとされているのが、最大の謎。