【感想文】粘膜蜥蜴
書籍データ
- タイトル:粘膜蜥蜴
- 作者:飴村 行
- お勧め度:★★★★★
舞台
戦時下(第二次世界大戦?)の日本及び日本占領下の東南アジア小国ナムール。
日本軍はナムールの抗日ゲリラに手を焼いている。
ナムールには爬虫人という種族が人間と共存している。髪が無く顔の中央が隆起し大きな目玉を持つ爬虫人の顔面は爬虫類そっくりだが、人間と同じ知能を持っている。
日本に連れて行かれた爬虫人達は使用人として重宝されている。
粗筋
母が失踪している大病院の跡取り息子、雪麻呂はクラスメイトの大吉と真樹夫を自宅へと連れ帰りえばり散らしていた。そんな中事故で大吉が死んでしまうが、ナムールにいるはずの真樹夫の兄美樹夫が不思議な力を持つ爬虫人の力を借りて生き返らせる。
ナムールにいる美樹夫にはその時何が起きていたのか。そして死者蘇生の可能性を知ってしまった雪麻呂はどんな暴走を始めるのか。
感想
面白かった。小説としての完成度はシリーズで一番高いのではないだろうかと思った
珍しく性格がいい人が多めに出てくる。特に美樹夫兄さんがめっちゃかっこいい。
雪麻呂は人格破綻者だし相変わらずヤバイ人間は多々出てくるのだが、いいやつも出てくるので対比がよく出ている。
勧善懲悪感の強いストーリーだけど、いいやつも悪いやつも等しく酷い目にあって死ぬのはいつものこと。
爬虫人の生活が詳しく書かれているのでなるほどこういう設定だったのだなと興味深い。
雪麻呂の母はこうなってるんだろうなぁというのはなんとなく想像していたけれど、当たらずとも斜め上って感じでちゃんと予想を超えてくるのが頼もしい。
他のほんとの独立性も高いし、これだけ読んでみてもいいんじゃないかな。