人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
Push
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
Push

Push

Push

めっちゃお得 藝大コレクション展 6/2

藝大コレクション展に行ってきた。
東京藝術大学は当然のことながら明治時代から美術教育のトップをひた走っているので所蔵品がすごい。美術の教科書に出てくる絵は大体ここか西美にあると言っても過言ではない。

www.geidai.ac.jp

そのコレクション展が430円で入場できて、こんな立派なパンフをもらえるのだからめちゃくちゃお得と言っていいと思う。

表紙は原撫松「裸婦像」。温かな質感が魅力的な絵ですが、結構謎なシチュエーションです。壁に何書いてるの?

f:id:minnagi:20190603161538j:image

6ページだけどこんなに絵が乗っててみっちり解説あるから超得した気持ち。
f:id:minnagi:20190603161535j:image

 ---

三宅 克己「雨模様」

f:id:minnagi:20190603150929j:image

三宅克己 - Wikipedia

この作品が一番好きです。
明治時代、西洋化政策を推し進めた政府によって若手を海外に芸術留学させていた時期がありました。おりしも印象派全盛期だったこともあり、多くの画家がフランスへ留学するなか、一部の画家たちはイギリスでの勉強を選んだ…というコーナーで紹介されていました。

遥かに広がる畑、遠くに見える建物、そこに群がる雨雲。
こういう高さの無い低い風景って海外特有だよなぁと思います。この位引きで描写したら、日本なら山がこの後ろに表示されると思う。

薄く、無感動と言っていいくらいにあっさりと描かれた田舎の風景。
緻密に描かれた近景と雄大な雲との対比が面白い作品。

---

花田 寛「熊野路」

f:id:minnagi:20190603150932j:image

色がすごく綺麗。日本画は印刷物より絶対実物の方が綺麗。どうしても印刷は色がきつくなってしまうけれど、実物はもっと繊細で美しく、もう少し緑っぽい青。
雄大で写実的で、とても美しい作品。

---

「起立工商会社」工芸図案

小林 晴景

f:id:minnagi:20190603150926j:image

山本 光一

f:id:minnagi:20190603150922j:image

明治時代、工芸品の製作・輸出を行っていた起立工商会社 - Wikipediaという会社のデザイン帳だそうです。ちょうど海外でジャポニスムが大流行していた時期ですからね。
たぶんだけど上は壺絵、下は絵皿の下絵なような気がする。会社に所属しているデザイナーがこういう絵を描きためて、職人が様々なものに絵付けをする際の指示書として使ったのでしょう。実際よく見ると蒔絵時の色や金粒サイズなどが朱書きで指示されているものもたくさんありました。
カラスの絵でデザインと高浮彫の壺とを並べているものがあって、その再限度が素晴らしかった。
会社がつぶれるときに社員がこれを持って藝大(の前身)に講師として加わったとのことで、詳細は不明だそうです。

 

三浦 文治「動物園行楽」

f:id:minnagi:20190603150935j:image

これすごい。
ぱっとこれだけ見せられたら、現代作家さんの作品かな?って思ってしまう。

伝統的な日本画の文法で当時の上野動物園を「写生」した作品です。めっちゃきれい緻密に描かれているし、全体のどこか現実離れしたノスタルジア感がよいです。
バンダナとかにプリントして上野動物園のお土産として売ればいいのにって思う。きっと売れる。

---

今回はやや展示スペースが少なかったのですが、値段安いし満足度としてはパーフェクトでした。何故か入口の床に高橋由一鮭図が貼ってあってなんでじゃって思った。

他、売店で「小さな絵画展」と言うのがやっていたのですが、撮影禁止だったので割愛。
現代作家の作品青田買いするんなら東京藝大の売店が一番投機として勝率高いんだろうなぁと思いました。まぁ投機はともかく(だってそれって手放さないといけないってことじゃん)、気に入った絵をそのうち買ってみたいなぁ。お小遣いためねば。