通年で開いていないことで有名な黒田記念館が公開時期だと、たまたま前を通って気付いたので行ってみた。
「智・感・情」公開してないじゃないかああああああ!!!!!
くそが!クソケチケチ野郎が!でも入館料無料だからケチってのも違う!下調べしなかった私が悪い!でもケチ野郎だ!!!!
というよくわからない気持ちになりました。くそぅ。
まぁ気を取り直して。黒田清輝は明治初期の洋画家です。政府の西洋化政策によって西洋画を学び、そのまま日本に紹介するだけでなく自分の中に取り込み解釈を加えて「日本における洋画」を生み出した第一人者です。
年表を見ると、ボンボンなんじゃなということがよくわかる。最終的には爵位をついで貴族院議員とかになってるし。
ゴリゴリしてエネルギーの塊みたいな西洋の洋画(変ないい方だな)も好きだけど、黒田が代表するようなさっぱり静謐な日本の洋画も好きです。
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「舟」
なんというか、一番「黒田らしい」一枚。水の感じとか代表作である「湖畔」を思い起こさせる。
あっさりとした描写、静かな水面と雲、これから何かが起こりそうな感じ。
この船には芯の強そうな女性がやってくるのだろうな。
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「薔薇」
ルノワールっぽさのある薔薇。手慰みに書いたとの説明通り、ざっと描かれている。好き。
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「山つつじ」
こちらはしっかりと描き込まれた花。こういう強い明るい色彩ってちょっとこの人にしては珍しいのではないだろうか。
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「少女・雪子十一歳」
十一歳、というにはしっかりとした意志を感じさせる顔。不機嫌と言っていいほど強い表情と大人びたたたずまいが美しい。
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「木村翁肖像」
先ほどの肖像に比べて、やる気のないことと言ったらwwww
ぱっと見きっちり丁寧に塗っているように見えますが、いやいや描いてる感がすごい。なんというか、黒田らしさ無いし、塗り絵みたいなんですよ。ほんとに。
モデルは実業家。引退の時に会社が肖像画を依頼するが、製作に時間がかかり6年かかったとの説明がありました。
大正2年というと国民美術協会会長に推薦された年。もう完全に大御所、美術界のドンと言っていい存在だったはずです。
好きなものを好きなように描ける身分まで上り詰めたであろう時期の依頼。
よっぽど断りづらい義理で無理やりねじ込まれた仕事なんだろうなぁ…
とか想像するのが楽しい。
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無料だからいいけど結構小さいところだった。何より最高傑作である「智・感・情」が見れなかったのがしょんぼりである。無料だからいいけど有料だったら相当引きずると思う。
11月、忘れずに再訪したい。