人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【ネタばれ粗筋】三つの物語

書籍データ

f:id:minnagi:20190515164317j:image

食べかけのキャベツが写っている。うちの猫はキャベツが好きだ。レタスはもっと好きだ。

収録タイトル

↓粗筋開始(白文字)↓

素朴な人

ノルマンディーの田舎、オーバン夫人の元で働く召使い女、フェリシテ。彼女は少ない給料にも不満を持たずによく働く倹約家であった。

フェリシテは早くに両親を亡くし、姉妹とも生き別れてあちこちで住み込みの召使いとして働いていた。若い頃は町の若者と恋をし、求婚されたこともあった。しかし彼は兵役を逃れるために金持ちの老嬢と結婚してしまい、捨てられてしまった。その後もずっと独身を通した彼女はオーバン夫人と亡き夫との子供達を可愛がっていた。特に妹ヴィルジニーを可愛がり、体の弱い彼女の世話をよく焼いていた。

ある時生き別れの姉と再会し、甥っ子がいることを知ったフェリシテは、身内がいることを喜んで彼らにつけ込まれていることも知らずに何かと世話をしたり物を与えたりしていた。

子供達が寄宿舎に行ってしまうと寂しさのあまり甥っ子を家に呼ぶようになるが、彼も水夫となってフェリシテの元からいなくなってしまう。何度か彼女の元に甥っ子から土産物が届くが、半年ほど連絡が来なくなったのちに彼の訃報が届く。

また、ヴィルジニーが寄宿舎で体調を崩したとの連絡が来て、医者を連れてオーバン夫人と共に向かおうとするか、フェリシテは出発に手間取り到着が遅れてしまう。そのため、彼女はヴィルジニーの臨終に間に合わなかった。

夫人と寂しく暮らすフェリシテは、夫人の知り合いの貴族からオウムを一羽貰い受ける。非常に可愛がっていたフェリシテだが、ある日オウムがいなくなってしまう。その日のうちに戻ってくるのだが、探し回る内に体調を崩して耳が遠くなってしまう。何年も可愛がっていたオウムもそのうち死んでしまい、剥製にして手元に残すことにする。

その後夫人も亡くなり、売り手がつかない屋敷の中でフェリシテは1人ひっそりと暮らしていく。きちんとした教育を受けていない彼女はオウムとキリスト教の精霊とを混同する程に無知であったが、それが故に穏やかな心で聖体祭の行列が家の前を通る中近所の人に見守られて息をひきとる。

 

聖ジュリアン伝

中世の森の中、領主の家にジュリアンは産まれる。彼が生まれる際、母親は修道士の幻に「息子は聖人になるだろう」父親は物乞いの幻に「おびただしい血、大いなる栄光、幸多き生、皇帝の一族」との予言を授かる。

お互いに予言のことは誰にも言わぬまま子供を育てる両親。ジュリアンは城主の息子として立派に育つ。貴族の嗜みとして狩を教えられた彼は著しい才能を見せ、また非常にのめり込むようになる。

ある日ただ一人狩りに出かけたジュリアンは目につく動物を全て殺しにかかる。獲物の回収もせず、肉も皮も取らず、死体目もくれずに狂ったように殺戮を続ける彼は最後に一頭の雄鹿を倒す。雄鹿は死に際に「いつの日かお前は、お前の父母を殺めるだろう」と予言を残した。

予感を恐れたジュリアンはそれを誰にも話さずもう狩をしないと言い出すが、それは貴族の息子として許されるものではない。元気付け用とする父から送られた剣を取ろうとして落とし、危うく父を殺しかける。また、久々に鳥を弓矢で射抜こうとすると母の帽子に刺さってしまう。それを見た彼は預言の成就を恐れて国を飛び出す。

放浪のうちに傭兵となったジュリアンは数々の武勲をあげ、ついには国を救った英雄としてとある帝国の娘婿となる。平穏な生活を送る彼はまた貴族の嗜みとして狩りを勧められるが、鹿の予言を忘れられずに断り続けている。妻に予言を打ち明けるが「もう両親も死んでいる年だろう」と狩が好きだができないというストレス解消のため逆に狩りを勧められる。

ある夜、ジュリアンは我慢の限界に達して狩に行くと言い出す。夜遅くもあり、彼の異様な状態に嫌な予感を覚えて必死に止める妻を残し、彼は夜の森へと出かけてゆく。不安に苛まれる妻の元に、老夫婦が訪ねてくる。それはジュリアンの両親であり、失踪した息子を探すため国を捨てて彷徨っていたのだ。息子がこの国で皇帝の娘と結婚していることに驚き、あの予言は真実でこれからもっと素晴らしい人生がジュリアンに訪れるのだと心中驚愕する二人。妻は夫の両親をもてなし、食事を摂らせて自分たちのベッドで休ませる。

ジュリアンが入った森には非常に多くの動物がいるが、なぜか一頭も仕留めることができない。それどころか、獣たちはこちらに襲いかかり、嘲っているかのようだった。なんの成果もなく苛立ちを募らせたまま城に戻った彼は、妻を起こさないよう明かりをつけずに寝室に入る。冷静さを欠いていたジュリアンはベッドに男女が寝ていることに気づき、妻が不倫しているものと思い込んで二人を殺してしまう。その断末魔は自分に呪いをかけた雄鹿の鳴き声そのものであった。

自分が父母を殺してしまったことに気づいたジュリアンは国を出奔する。隠者として彷徨う彼は、ある激しい川の渡し守となり、利用者からの施しのみで生きるようになる。

ある日川に癩病の男がやってくる。いつになく荒れる川をなんとか渡り、彼は病人を自分の小屋へと案内する。残り少ない食料を全て与え、看病するジュリアンに病人は「今にも死にそうなので裸で温めてほしい」と訴える。膿みだらけのその体を抱きしめた時、病人はその真の姿、キリストの姿へと変わり、ジュリアンを天国へと連れて行った。

ロディア

西暦30年ごろの中東、ヘロデ・アンティパス(所謂ヘロデ王)の王宮。

内外の政治的トラブルに悩むヘロデは政治的緊張を和らげるために自分の誕生日を口実に大宴会を開こうとしていた。そのもてなしで対立する各派をなだめようというのだ。

準備の最中、牢獄に捕らえられたヨナカーンに会いにファニュエルが現れる。それを見て激昂したヘロデの妻ヘロディアスは前夫との娘を捨ててまでこの国に来たのに恥をかかされていると、彼らを殺すよう求めるが、なだめられる。ヨナカーンはヘロデが兄の妻であったヘロディアスを自分の妻としたことが律法違反だと声高に批判しており、ヘロディアスはそれを憎々しく思っているのだ。

そこに、前触れもなくローマ帝国シリア提督のウィテリウスとその息子アウルスがやって来る。ヘロデの治める国はローマ帝国の属国であり、外敵への援助を要請していたのだが、彼らの目的は脱税や反乱の意思の確認のようであった。隈なく場内を調査するうちにシリア提督一行は捕らえられたヨナカーンを発見する。皆の前で口汚く罵られ、ヘロデは大いに恥をかく。

やがて始まる大宴会。ローマのしきたりにより、女性は参加できない。シリア提督の元にはその利権に預かろうと様々な人が押し寄せる。そのうち話題はヨナカーンへと移る。ヨナカーンが支持するイエスはメシアなのか、ヨナカーンはエリヤの再来なのか。議論は紛糾し、宗教論争となり一触即発の非常に険悪な雰囲気となる。

そこにヘロディアスがローマ皇帝をたたえながら登場する。そしてこの日のために密かに呼び寄せておいた前夫との娘を宴席に呼び出す。娘はまるで曲芸のような激しい踊りを披露する。すっかり魅惑されたヘロデは、娘になんでも褒美を取らせると約束する。すると「ヨナカーンの首を」と彼女は答える。ヘロディアヘロデが娘を気に入り、こうなることを見抜いていたのだ。

皆の前で約束したヘロデは渋々首切り役人にヨナカーンの首を取るように命令する。恐れ知らずの首切り役人だが、ヨナカーンを討ち取ろうとすると恐ろしい幻を見て錯乱状態となる。それでもなんとか首を落とし、ヘロデに差し出す。

宴会も終わり、皆が帰るなかヘロデはただひとり途方にくれてヨナカーンの首を見つめている。

やがてその首はファニュエルらの手に渡り、キリストやヨナカーンの信者たちのものへと運ばれて行く。

 

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