人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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閑話休題・初めての“抄”

まだ読み終わってないのだけれど、初めて(抄)のついた本を読んで驚愕したので日記を書く。

 

抄を辞書で引くと以下のようにある。

長い文章などの一部を書き出すこと。また、そのもの。ぬきがき。


なんでこの本を読もうとしたかというと、そもそもはギュスターヴ・モロー展をみたからだ。図録を買ったら、「フローベールサランボーをイメージとしてモローはサロメを描いた」とあって、ふーんどんな話なんだろう?と探してみて、すぐに手に入るのがこれだけだったんですよ。
収録作品が

すっごい分厚い本の割に収録作の3/5が(抄)。ちょっとひどい。
それだったら2作くらいにして全文入れて欲しい。


私、今まで(抄)ってつく本読んだことが無いんです。
だって当然じゃないですか。読みたい話があるというのに、なんで全文読まずにわざわざ抜粋だけ読もうと思うんだって話ですよ。読むかどうか迷ってるレベルなら粗筋を読んで判断すればいいだけの話で、中途半端に長い要約を読んでどうするんだってことです。

けど、明示されてこそいなくとも、誰でも(抄)的な話って読んだことあると思うんですよね。
児童小説です。なんなら、絵本でもいい。
わかりやすい例でいえば、スウィフトのガリバー旅行記
イギリス人が小人の国と巨人の国を冒険して帰ってくるというストーリーを知らない人は少ないでしょう。
けれども、その後ラピュタに行ったり馬の国に行ったりして最終的に馬小屋で生涯を終えることになると知っている人もまた少ないと思います。
それはほとんどの人が、子供向けの省略版を読んでいるからでしょう。
子供向けの本って、結構省略版多いですよね。それって、(抄)と同じじゃないかなぁって思いまして。
まぁ要するに省略版だな。うまいとこ名場面つなげて本筋じゃないエピソード削って中編くらいの長さに収めてるのかな。
そのくらいの気持ちで読み始めました。

 

特に理由もない時は、私は本を最初から読みます。収録順にも意味はあるし。今すぐサランボー読みたくて死ぬ!ってほどでもないし。
だから普通に「十一月」を読んでから特に目当てでもないけどタイトル聞いたことくらいあるわ~と「ボヴァリー夫人」を読み始めたわけです。
話はボヴァリー少年から始まって母ボヴァリーが出てきて年上妻ボヴァリーも出てきて、「タイトルにある『ボヴァリー夫人』ってどっちのことかな?」と思いながらさらに読み進めると、やっと主人公の「若妻ボヴァリー」が出てきてひと安心。
「省略版なら学生時代の話とか削ってもよくね?」と思った。
「もしかしてこれって、私が思ってる省略本とは違うのかな?」とは思った。
けど、まさか結構なページ読み進めた後で、こんなページが出てくるとは思いもしなかった。

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マジで…?世の中の○○(抄)って話、こういう形態なの…?斬新じゃね…???

 

いや、斬新ってのも違うんでしょうが。初めて読んだので本気でびっくりしました。動揺しています。
文体の美しさで読むのは苦痛でないし、普通の小説からのいきなり箇条書きを経ていきなりクライマックスを省略してのラストシーンなので戸惑いはしましたが話はわかりました。
ただ、動揺が酷い。思わずどこかに書きださずにはいられないほど動揺している。
そうか…(抄)ってこんな感じなんだ……

 

今、続けてサランボーを読み始めています。
いつまた箇条書きが始まるか、正直ビクビクしている。