【感想文】藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編集 1
書籍データ
- タイトル:藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編集 1
- 作者:藤子・F・不二雄
- 読書時間:小一時間
- お勧め度:★★★★
今日の猫です。
猫は漫画を読まない
- ミノタウロスの皿
- カイケツ小池さん
- ボノム=底抜けさん=
- じじぬき
- わが子・スーパーマン
- 気楽に殺ろうよ
- アチタが見える
- 劇画・オバQ
- イヤなイヤなイヤな奴
- 休日のガンマン
- 定年退食
- 権敷無妾付き
- ミラクルマン
- ノスタル爺
- コロリころげた木の根っ子
- 間引き
- 安らぎの館
- 総括
ミノタウロスの皿
すごく有名な話。食べるものと食べられるものが逆転した世界で、人間は何をどう感じるのだろうかという思考実験のような話。
実際自分だったらどう思うだろ?と考えるんだけど。
私は動物がかなり好きで、牛も豚も可愛いなと思う。小学生の頃、同級生の家では牛を半分ペットとして飼っていてすごいなと思った記憶がある。子牛を買ってきて庭(農家さんで大地主さんでした)で飼い、ある程度大きくなったら食肉として売るんだって。
かわいがっていた牛がいなくなるって、子どもだった同級生は何とも思わなかったのかなぁ。畜産業者としてたくさん飼っているうちの一頭じゃなくて、かわいがってるたった一匹の子牛、どういう気持ちで接していたんだろう。
カイケツ小池さん
オチがよくわからない。最後のコマのボールってなんだろう。本当はあと数ページ続くんじゃないの?って感じ。
この話はスーパーデラックスマンに続くそうなので、これで完全にキレた小池さんがスーパーデラックスマンになるのかも。スーパーデラックスマンの名前は小池さん違うぞと突っ込みが入った。確かにそうだった。続編じゃなくてリブートね。読み込みが足りない。*1だとしたらなおさらわからんな。
ボノム=底抜けさん=
いまいち面白くない。深読みしようと思えばできるけど、作者はどの程度意図しているのだろうか?神様みたいにいい人ではあるけれど、まわりをとことん見下しているようにも読めるし、そう思うことで本当は気づいている惨めな自分を認めていないのかもしれない。
ストーリーとしてあまり面白くない。
じじぬき
邪険にされる爺さんの話。よくあるストーリーだなって思う。
わが子・スーパーマン
カイケツ小池さんが子どもだったらという感じ。無邪気な正義。
気楽に殺ろうよ
面白かった。ひねりが聞いたブラックジョーク。
こういうのも野暮だけど、生命の営みである生殖を肯定してるのと同時に、殺人を肯定してるのはちょっと矛盾してるんじゃないかなと思わなくもない。テンポがいい。
アチタが見える
面白かった。ありがちと言えばありがちだが、表現がよい。最後、これからどうなるんだろうなぁって思わせるものがある。
劇画・オバQ
つまらなかった。まぁありがちだね、以上のものはない。
イヤなイヤなイヤな奴
これもありがちな設定だけど面白かった。先は読めるけど緊迫感がある。オールドSF短編の趣がある。
休日のガンマン
世知辛いなぁ。ちょっと画面がごちゃごちゃして読みづらい。詰め込み過ぎな印象。
定年退食
これと間引きって話がテイストが似ていてどっちだっけってなる。
全体に未来は人口が増えすぎている、という設定の話が多くて時代だなぁって思う。今じゃ少子高齢化で、未来を描こうとすると人口不足の世界になってしまう。
食料をくれないなら安楽死制度が欲しいな。
権敷無妾付き
タイトルがちょっと変わってるけど、当時の不動産用語で「権利金・敷金無し」の意味らしい。騙され騙される男の悲哀。人間正直に生きるのが一番だよ。
ミラクルマン
またスーパーマンもの。全体に暗い感じであんまり好きじゃない。
ノスタル爺
すごく有名な話。せつないと言えばせつないけれど、もっと他にできることがあるんじゃないかな。自由の身のままでいて女の子を戦後助けるとかさ。
コロリころげた木の根っ子
星新一風味。嫌な旦那と無気力な妻の逆転が面白い。
間引き
コインロッカーの管理人ってなんだろう。昔はいたのかな。それとも未来だからいるって設定なのかな。似たような話が多くてまたかってなっちゃうから短編集はいまいちだ。
安らぎの館
幼児退行でリラックスするってのがなんか感情移入できない…あのサービスを勧めたのも陰謀の一部だったのかしらね。
総括
短編の感想ってネタばれなしだとどうしても短文になってしまうなぁ。
面白い話とそうでもない話が半々って感じ。時代と、壮年男性向けってのもあるのかな。
だけどもうこれは古典といっていいレベルだし、なんというか漫画界の教養レベルな気がするから読んでおくべきだと思う。
*1:言い訳:なんというか、本や映画でもそうなんだけど人物名あんま認識できないんだよな…「探偵」とか「女詐欺師」とか、役だけわかってればいいって思ってしまう。