寒すぎて美術館に行けない 読書感想文 ルドン 私自身に
年末に借りていたルドンの本を読み終えました。
私の好きな画家オディロン・ルドンの自伝的な本なのですが…
つまんなかったね!エッセイを書こうという気がそもそもないように思った。日記、覚書、批評、思い付いた事柄をただ書き連ねているだけで、人に読ませること前提とした文章ではないようだ。
まぁそもそもの性質からしてそんなものかもしれないね。
このだらだらした本からキャッチーで瑞々しい一文を拾ってきて美術展のコピーとするキュレーターさんはすごい。
他の画家や芸術家に関して色々語っているところは面白かった。
ちょうど印象派の人なのだけれど、なぜマネの「草上の昼食」が(ルドン的に)芸術的ではなく下品なのか、というくだりはとても興味深かった。
言っていることに賛同するという意味ではなく、当時大スキャンダルを巻き起こしたあの絵がどう受け止められたのかということが垣間見えるからだ。
ルーベンスについても面白い。昨年末、ルーベンス展を見たばかりだったし。
ルーベンスは、あえていえば、退廃気の巨匠である(中略)ルーベンスは古い美術の衰退期に属する。真に新しいと言えるものは何も作っていない。
そう言われてみると、正面切って反論するのは確かにちょっと難しい。彼の作品は確かに王道であるからだ。
群れずに独自の作風を作り上げた自負のある彼は古典的作品があまり好きではないようで、アングルなんかも嫌いなようだ。かといって、当時最先端の印象派も好きではないので面白い。反面、彼が褒めた画家はあまり現代まで評価が続いておらず、結局どんな絵だったのかわからないのも多い。挿絵入れてよ。
まぁ芸術家なんて、自分が最高他はクソくらいな気持ちでないとやってられないのかもしれない。
読み終わった正直な感想は、ダリは文章がうまかったなぁ、だ。
ぶっちゃけ画家の自伝って言うから、前に読んだダリの本を読むのと同じテンションで読み始めてしまった。すごいつらかった。面白くないんだもんよ!ルドンの文章!!
時代が相当あいているのもあるけれど、ナルシスとの総合芸術家と引きこもりコミュ症の画家が書く文を同じ気持ちで読んだ私が悪かったかなと思わなくもないです。