人の金で美術館に行きたい

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。

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シミュラクラ ルーブル美術館展 国立新 8/10

ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

www.ntv.co.jp

率直に言うと前半は美術的にはイマイチだ。

古代エジプトのミイラ用マスクとか、メソポタミアの小像とか、文化・歴史的にはとても興味深いけどアートとして面白いものではない。ギリシアの墓標として使用された肖像などは美しくはあるけどやはり大量生産の工業品だなぁという印象である。王様の肖像のついたメダル、とか言われても美術的には、ねぇ。
ルーブルミュージアムであって、特に「アート」ミュージアムとつかない限りは美術と博物の区別がないってのは知ってるんですよ。知ってるんですよ。
でもここは「国立新美術館」じゃないですか。「美術」。
美術品持ってきてくれ。

 

もう一個残念だなと思ったのは、割と有名な作品の「複製版」や「下書き」が多かったこと。
いや、いいんだよ、それ自体出来がいいし。自己複製とか本物と変わらないし。でもさ、「これはかの有名なあれ!の別バージョンです」って繰り返されるとテンション下がらない?私だけかな。
そっちのメジャーバージョンは持って来てくれないんで?オケチ様ですか?ってなっちゃうよ。

気を取り直してポストカード。

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クロード・ラメ「戴冠式の正装のナポレオン1世

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ナポレオンについては彼だけのコーナーがあり、肖像画や彫刻、デスマスクまであって楽しかった。
特にデスマスクは、死後マスクを作成した医者が複製を作って売りまくってたり、内政安定のためそれを容認していた国王自身が30個も所有していたりと逸話が面白い。
自身の政治的イメージを確立するため、特定の衣装やポーズで限られた者にしか肖像作成を許さなかったナポレオンは、それを見てどう思ったんだろうねぇ。愛されて嬉しいかなぁ。

この作品は硬直した表情やポーズがちょっと生気に欠けるけど、そういう制約があったなら仕方ないかもね。
技術的にはものすごいです。房飾りから刺繍からレースまで、圧倒的な細かさ。

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 サンドロ・ボッティチェリと工房「赤い縁なし帽をかぶった若い男性の肖像」

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前半の小さい古代工芸品(クオリティはそれなり)や小さいメダルなんかを混雑掻き分けながら見て、見づらいから人が群がってるだけで、がんばって見てもそれほどのもんでもねぇな!と疲労感を募らせていたエリアを抜けた後。パッと輝くような絵画が現れてこれは一体!とキャプション読んだらボッティチェリだった。美しい。

うん、右側の髪の毛書き直した跡があるし、顔と体の向きが微妙にあってなかったりするし、技量的には満点ではないと思う。でも、見た瞬間「めっちゃ輝いてる」って思ったんですよ。惹きつけられる何かがあるんですよ。

これこそが美術を美術たらしめるアウラってもんだろうなと思った。

まぁ、この辺の絵画コーナーから入り口の工芸コーナーの人口密度はなんだったんだってくらいゆったり観れるようになるんだけど。
美術展の混雑って、作品のクオリティより作品の小ささに影響されるよなぁ。物理的に見づらい作品が渋滞する。

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エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン「エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像」

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かわいい。可愛すぎる。んでセクシーがすぎる。
女流画家の作品なのですね。とても打ち解けた表情なのはそのためでしょうか。内輪で楽しむ用の、個人的な作品は表情が魅力的なものが多くて素敵です。服やクッションの質感もいい。

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ジャン=フランソワ・ガルヌレ「画家の息子アンブロワーズ・ルイ・ガルヌレ」
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かわいい…かわいいが過ぎる…少年も可愛いし猫も可愛いし、愛情持って描かれてる感じとかたまらなくかわいい。
本当に最高だと思う。技術的にどうというより、本当にモデルとの信頼関係とか、そういう滲みでているものがよい。

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 彫刻はどれも良かった。

LP455 リシュリュー公爵ルイ・フランソワ・アルマン・デュ・プレシ
File:Richelieu Schiaffino Louvre LP455.jpg - Wikipedia

LP409 フランスのマルタ騎士団副総長アマドール・ド・ラ・ポルト
Réunion des Musées Nationaux-Grand Palais -

 布やレースの表現がそこまで!というくらいにリアルなのだけれど、皮膚と服との表現のリアルさ密度がずれている感じもする。

 

MAO2261 肖像画と絵画のアルバムhttp://www.amisdulouvre.fr/sites/default/files/fichiers/publication/bulletin_4_trimestre_2013.pdf

インド人が描いた各国の重要人物肖像画。イギリス王妃アン・オブ・デンマークが見れた。表現文法の違いが面白い。

 

展示の中で一番いいと思った。

RF3961 イギリス人の将校の肖像

D'Outre-Manche : Catalogue en ligne - L'art britannique dans les collections publiques françaises (1100-1940)

ドラマチックで、人間味あふれて、光り輝いていて、モデルの素朴な人柄がうかがえる。
最高にいい絵だった。

海外美術館は、公式でコレクションアーカイブがあったりして助かるね。