銀座エリアに行ったらここにも行くだろう。資生堂ギャラリー。
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なんか評判良かったから気になってた。
ここは普段は撮影可能なことが多いのですが、今回は一部を除き撮影不可。でも入り口でもらえる冊子に小さく写真と解説が載ってるよ。
この解説の文章がかなり興味深く面白いのでちゃんと読むといい。
今回の展示は渡邊 耕一さんの個展「Moving Plants」。世界各地に自生するイタドリという植物の写真がメインだ。
イタドリというのは日本原産の植物で、薬効もあり一応食用にもなり、強い生命力を持つ。200年前にシーボルトによって国外に持ち出され、その生命力、緑の美しさから園芸家に人気となり、世界各地に植えられた。
そしてその結果、今では土地の生態系を崩すほどに成長し、侵略的植物種、危険な外来種として指定されている。地域によっては、イタドリが発見された地域の土壌は持ち出し禁止になる程だという。もしもその土に少しでも根が残っていたら、移送先でもイタドリが群生してしまうからだ。
今流行りの、特定外来生物を駆除するテレビ番組のようだ。
写真は全て 渡邊 耕一
私はあまり植物に詳しくなくて、この植物がその辺に生えているのかあまりよくわからない。近所では見かけない気がするが、気づいていないだけかもしれない。
馴染みのある植物が、他の国では劇物のような扱いを受けているのを見たら、どんな気持ちになるだろうか。かつて望んで持ち出され、もてはやされ、今は忌み嫌われている故郷の象徴を見たらどんな気持ちになるだろうか。
そういう植物はたくさんある。生態系とか在来種保護とかいう概念がなかった頃に移動して根付いてしまったもの。セイタカアワダチソウやシロツメクサ、ハルジオン、ブタクサなどは外国からの帰化生物だ。特にブタクサはアレルギーの人も多いから、そう聞くと憎さが倍になる人も多いのではないだろうか。
けれどもそれらがこんな研究室で根絶やしにするための研究を行われると知ったらギョッとするのではないだろうか。
イタドリを駆除するための天敵昆虫がイギリスで研究されているのだという。
イギリスの生態系に悪影響を与えないと選定されたそうだが、そんなことがあり得るのだろうか。ある種が根付き、帰化し、その土地で繁殖していくのに全く周りに影響を与えないことがあり得るのだろうか。相互に影響を受けるのが当然なのではないだろうか。
そしてその昆虫が何かの拍子に逆輸入された時、イタドリがいるべき日本の生態系には何も影響を与えないのだろうか。
人や物流の動きがある以上、絶対はあり得ないのだから。
写真単体としてもとても美しいものだったけれど、それの問いかけるものというのがとても重いなと思った。