京都人が興味を示したので、古代アンデス文明展に行ってきた。
上野の国立科学博物館。
めっちゃ久しぶり。もしかしたら20年ぶりとかかもしれない。
結構広くてかなり混んでいた。
一部コーナーと動画を除き、ほとんどの作品が撮影可能。博物館ってゆるい。
特にじっくり見たなという感じはないんだけれど、普通に見て出て疲れたねとカフェに入ったら3時間くらいかかっていてびっくりした。
なんでこんな時間かかるかって、地図を見てわかるように行き止まりがすごく多いのと、マルチメディアガイドという映像つき音声ガイドが有料貸出されていて、それを使ってる人が全く動かないせいだった。
ただでさえガイドって時間食うのにさぁ、アンデスクイズとか出してるんだもん。展示見ないでそっちに夢中になるの、広い会場ならいいけどU字路のつきあたりで真剣に回答されてたら、そりゃ列も進まないよ。
もう少し会場のキャパを考えて欲しい。
「クイズに応えてドローン映像を見よう!」じゃねぇよ!映像は会場の外で見ろ!!!
展示内容については、ものすごく広い範囲のものすごい長い時間のものを一度にまとめていて、京都人の「『極東アジア展』と称して大和朝廷から百済のあたりまでまとめて見させられた感じ」というのが言いえて妙だと思う。
B.C13000年の先史時代から~A.C1572年のインカ帝国滅亡までまとめての展示だもん。
しかしそんな長期間にわたる複数王朝の複数文化であるというのに不思議と似通った表現のものが並んでいて、どれか一つを別の時代のものに紛れ込ませても気付かないだろうなと思った。
文字のない文化だから技術の蓄積が緩やかだったのだろうか。
陶器や金属加工品などの技術、頭蓋骨切開などの医療技術など、相当高い技術はもっていたはずなのに不思議だなぁと思う。
ヨーロッパとか、このくらいの時代の流れで相当変わっているものね。やっぱり産業革命は偉大だなぁとか考えていた。
ヨーロッパとアンデスでどうしてこんなに差が開いたのかというのは、あの有名な「銃・病原菌・鉄」を読めばだいたい雰囲気はつかめるよ。
でもこの本は専門家がものじゃないということを念頭に、ある程度眉唾で読むべきだ。
ついでに、下巻は上巻と同じことがひたすら繰り返されているので読まなくていい。
というわけで大量に撮った写真から気に入った作品を。
見た順じゃなくて、気に入った順です。
製作年が()付きなのは、どの文明化しか書いてなかったから勝手に調べたものです。
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一番好きなのは真ん中のやつです。
左(手前)から、
ネズミ型象形鐙型土器 クピスニケ文化 前800年~500年
刺青またはフェイスペイントをした小像 クピスニケ文化 前1200~前800年
蛇・ネコ化動物土器 クピスニケ文化中期
破裂防止のために開けられたという腹の穴がすごくヘソ感があっていい。オカリナになっているらしい。
全体の特徴として、この不思議な持ち手のある鐙(あぶみ)型、色の境目にも段差のないツルツル輝く質感が全文明を通してあげられる。
この鐙型、何でなんだろうね?皿洗いとかどうやってたんだろう。
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裸の男性の背中にネコ科動物がおぶさった鐙型注口土器 モチェ文化 (後200~後800年頃)
神の従者であるオセロットが生贄にされる男性を抑え込んでいるように見える(断定はしていない)との説明つき。
全体的に、「そんなに一生懸命男性であることを強調しなくていいよ…」って思った。股間。
でっかい猫にニャァ!って来られるのかわいいなぁ。物騒な主題のものが多いんだけれど、表現は現代作家みたいにポップでキッチュ。本当に全体的にかわいい。
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トウモロコシの穂軸の姿をした神を描いた土器 モチェ文明 (後200~後800年頃)
京都人いわく「これは日本で言うオニギリだね」顔の表現が鬼がわらっぽくて、現代陶芸感がすごい。
豊穣でも祈っていたのでしょうか。
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自身の首を切る人物の象形鐙型土器 クピスニケ文化 (前1200~前800年頃)
えええ、自分で切るのおおおお????
ああ、でもよく見るとナイフ持ってる。なんか無駄に管(血管とか食道?)が表現されていて、人体のポップさと裏腹なナンジャコリャ感がすごい。
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左から
鉢型の金の器 シカン文化(後800~後1375年頃)
細かい細工が施された金の装飾品 後期シカン文化
打ち出し技法で装飾を施した金のコップ(アキリャ)5点セット 中期シカン文化
めっちゃほしい。このコップ、めっちゃほしい。
コップといいつつよく見ると小さい穴がそこにあいている。コップじゃなかったのか、あとから空いたのか、穴があるのが正解なのか。
しかし、金100%だとちょっと風情が無いですよね。ペカペカしすぎて本物と思えないというか、繊細さに欠けるというか。
デザインって大事だなぁと。
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頭を覆う布 チャンカイ文化(11~15世紀)
ワタの布。わざわざ『レースのように』と解説されているのだが、レースではないのだろうか。
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装飾付きの壺 中期シカン文化(後800~後1375年頃)
「シカン神の両脇にはウミギクガイの一種が左右対称に象られている」とのことなので、決っしてパァではないとのことですw
面白かったけどとにかく混んでいるのに疲れた。導線大事。
あと、物販のアンデスチョコがおいしかったよ。さすが本場のチョコだ。