人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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シュールってなんですか 横浜美術館、「シュルレアリスムの美術と写真」

 横浜美術館の収蔵品展に行ってきた。

横浜美術館コレクション展 2017年12月9日(土)-2018年3月4日(日)「全部みせます!シュールな作品 シュルレアリスムの美術と写真」 | 開催中の展覧会・予告 | 展覧会 | 横浜美術館

ここは収蔵品展は写真撮影可能だが、携帯でバシャバシャ撮ってるとうるさいって怒られるから気をつけろ!

寝坊してカメラ忘れたし、長居もできな買ったからとりあえず写真撮って後でゆっくり見ようと思ったんだよ…ごめんよ…

数えていないけれど、印象としてマン・レイマックス・エルンスト、ヴォルスが多かったかなと思う。ベルメールも多かった。

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ジョアン・ミロ 「女の頭部」1975年

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これってシュルレアリスム(で今回統一しよう)なのだろうか?

「1. 上手である必要はない」と章番号を打った直後に、ミロ。
よりにもよって、ミロ。
嘘か真か、美術学校の入試で「余りにも下手すぎて逆に才能があるかもしれない」という理由で合格になったという噂の、ミロ。
含みがあるのだろうか。
例えばピカソとかキュビスムや非常に簡略化した絵で知られているが、若いころの秀作は驚くほどの緻密さなわけですよ。どんなエキセントリックな作風の画家でも、習作は普通に写実だったりするわけですよ。でも、ミロのそういう作品を見たことが全くない。


私は引き続き、「まじめに写生したミロの絵」の情報を募集しています。

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ルネ・マグリット「青春の泉」1957-58年

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青春の泉、という題だけれど描かれているのは明らかに墓標。時刻は夕暮れ、描かれているものは全て無彩色です。墓標の荒い筆致から背後の赤が透けて重苦しい感じになっています。

描かれた文字、ROSEAUとはフランス語で「葦」です。といえばパスカルのパンセだよね。

「 人間は自然のうちで最も弱い葦の一茎にすぎない、だがそれは考える葦である」

この墓は誰か個人のものではなく人間の、むしろお前自身の墓なのだと言われているようだ。

60歳ごろの作品。もう青春の泉が枯れてしまった後なのだろうか。

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イヴ・タンギー「風のアルファベット」1944年

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イヴ・タンギー - Wikipedia

イヴっていうから女性かと思ったら男性だった。

ていうか、いくらなんでもダリっぽくない?モチーフとかは違うけど、タッチが完璧にダリじゃない?いいのか?てくらいじゃない?

ダリのような圧はなくどちらかというと沈痛な感じのする絵。飛行機やナイフが使われない部屋の家具のように埃除けをかぶっている。そういう風に見える。

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ロベルト・マッタ「コンポジション」1957-59年

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コンポジションというとカンディンスキーモンドリアンがパッと思いつくよね。音楽用語でもあり、どちらかというと明るく、リズミカルで楽しい感じのイメージを持っていたのだけど、この絵。

こんな攻撃的なコンポジション初めて見たwなんなん、行進曲でも聞いてるの?

すっごくいい絵というわけじゃないんだけど、なんか面白くなった。

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マン・レイ「贈物」1921年(1970年再作成)

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マン・レイすごく多いです。写真もあるし、オブジェもある。有名なガラスの涙とかもある。

その中で面白いなと思ったのを一つ。

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ほうほうなるほど?このアイロン使ったらすごくスッとするだろうな。 

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マックス・エルンスト「少女が見た湖の夢」1940年

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枯れた木々の森のように見えて、無数の生き物が隠れている。この絵好きです。

これがエルンストの本来の絵柄なのかな?ておもうけど、物によって違いすぎてわかんないね。

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ヴォルス「無題」

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写真すごくたくさんあった。ありすぎて困るくらいあった。

シュルレアリスムとしてしっかり作り込まれたもの、ソラリゼーション、そしてただ資料として作成され、それに価値を見出されたもの。

これらはそのうちのどれなのだろうか?

 

ヴァルス「植物」1947年

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油絵好きだな。どう見ても何かのクリーチャーで植物じゃないけど好きだな。

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ハンス・ベルメール「人形」1935年

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ベルメールがいっぱいあって珍しいなと思ったけど、どれを紹介するか迷った。

シュルレアリスムは当時の現代アートだし、反体制(特にベルメールの場合、反ナチスの退廃芸術だ)だったりアングラだったりでね。こう、いきなり見たらギョッとするような作品がね。多くてね。どう見てもSM写真とかさ。

見せて良いものか迷うよね。

 

ベルメールは好きです。球体関節人形の元祖と言っていい。人形者はみんなベルメールが好き。

だからこそ、現代人形作家はベルメールに囚われた人が多くて残念に思うことがある。全ての人形が退廃でなくてもいいじゃんねぇ。

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作品がすごく多いし、好きなタイプだから長くなってしまった。

しかし、今回のテーマである「シュルレアリスム」とはなんだろうか。技法というより製作時の姿勢が大事なような気がする。

ウジェーヌ・アジェ「サン=ジャック通りの角、パリ5区」1899年

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ポスター美術華やかなりし頃、ロートレックのパリ。

ごく普通の街並みの写真に見える。

これがこの企画に展示されるのは、これがシュルレアリスムの枠組みに入れられているのは、撮影者の意図だろうか。受取手の感性だろうか。

 

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シュルレアリスム芸術家のポートレートもたくさんあった。仲間内で作品を協力し、交換し、仲間同士で発展していったのだろう。どれが誰だかわかるだろうか?

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作品のイメージと合ってるかな?と考えながら、お気に入りの作者の名前を探してみるのも楽しいものだ。