人の金で美術館に行きたい

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。

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畏怖 ムンクのマドンナ

私の好きな絵30選〜30も続くかしら?の第2弾はムンクです。
「マドンナ」これは1894年。

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うん、手持ちのポストカードがこれなんだけどさ、本当はこれじゃないんだ…これだけど、これじゃないんだ…

(アマゾン)

これ。アマゾンで売ってるこれが欲しい。買ってください。
欲しいものリストに入れたので買ってください。

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こっちの、周囲ぐるりと精虫が泳ぎ、恨みがましい目で胎児が見上げるバージョンがいい。
5年位前に見て、すごく気に入ったからミニポスターを買って持ってたんですけどね…猫がね…猫が毛玉をね……つらい。

 

 悲しい思い出は忘れよう。
エドヴァルド・ムンクは19~20世紀のノルウェーの画家だ。表現主義とされる。来歴はウィキペディアに詳しい。
エドヴァルド・ムンク - Wikipedia
なんか、なんていうか「苦労してるなぁ」ってのが正直な感想だ。
もちろん「叫び」や「不安」で超有名、知らない人もいないだろう。けれど、作品群を眺めているとそういう画風じゃないものの方が多いのだなと気付かされる。ゴッホゴーギャンを連想するようなタッチで非常に写実的な絵画を描いている人なのだ。

 この、「煙草を持つ自画像」とかすごく好きだ。実物は見たことないけれど。

(アマゾン)

 

いつ頃このマドンナを見たのか、そのとき同時に何の絵を見たのかは忘れてしまった。でもこの絵を見た時の印象はすごく覚えている。
「ああ、この人は女性が怖くて仕方なくて、でもどうしても魅かれるのだな」
と思ったのだ。
マドンナ=聖母というタイトルながら、確かに後光のようなものは見えるけれどこの女性はあまりにも生々しい。官能的という方が正しいだろう。
身をくねらせる彼女の腹部はよく見ると膨らんでいる。これを処女懐胎、受胎告知と言うには余りにこじつけが過ぎるだろう。
彼女は生身の女だ。美しく、蠱惑的でありながら触れることのかなわない女だ。

 

最初に掲示したポストカードは1894年に描かれたとされる油絵。そして私がこっちがいいと言い張っているのはそれを本人が1895年年に再構成したリトグラフだ。
リトグラフにしたことで微妙な色彩は失われ、女性は闇に沈み、痩せこけてまるで死人のようだ。幻想的で、この世ならざるものと化している。
それ以上にインパクトがあるのが胎児と精虫だ。彼女を目指して蠕動する虫たちが背景と同化し、異様な雰囲気を与えている。
油絵が美しき妊婦だとすれば、リトグラフの彼女はまだ子供を宿していない。
今から彼女の中ではぐくまれようとしている胎児が生の喜びなどかけらもない、暗い瞳で母を見つめているのはなぜだろうか。まるでこの世に生まれたくないかのようだ。

 

ムンクはとてもハンサムだったらしいが、不倫してたり、独身女性と付き合っても結婚は拒んだりといわゆるフツウな恋愛はできないでいる。
自分の芸術制作に打ち込みたい、家庭維持に割くリソースはない。そういう理由かもしれない。あまり恵まれたとは言えない子供時代から、家庭に対する肯定的な感情をはぐくめなかったのかもしれない。

でもなによりもやはり、畏怖を感じる。近付かずにはいられないほど魅力的で、触れることも叶わないほどに尊い。手を伸ばして、届いてしまうことがなによりも恐ろしい。あまりにも崇拝しすぎて、それを手元に引き摺り下ろすことが罪としか思えずに、ただ見つめることしかできない。そうして永遠に自分のものにならない、できない、したくない人をただ見上げているのだ。胎児は縮こまったままのムンクその人なのではないだろうか。

ああ、これをファム・ファタルと呼ばずしてなんと呼べば良いのだろうか。

 

 

 

フリー画像が見つからない場合、アマゾンアフィを張ると引用にとても便利なことに気づいたので多用しようと思います。
リンク先で買わないと私の懐は潤わないらしいからいいよね。見るだけでお金になればいいのに。

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