人の金で美術館に行きたい

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。

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あなたもブルータス 空間概念

私もブルータス!

ブルータスはお読みになりまして?

magazineworld.jp

もちろん私、買いましてよ。読んでましてよ。

単純な感想として、「好きな絵を(約)100個もぱっと出せるとかすごいなぁ」と思った。じゃあお前も100個上げてみろよって言われたら困っちゃう。
やっぱりさすがプロだなぁ。いろいろまんべんなく見て、見たうえで自分のスタイルも確立してるんだなぁと思った。
絵の評価が描き方だったり手法の意図だったりするのはやはり流石に絵描きさんの言うことで、私には真似のできるものではない。
絵を見るのは好きだけど、書くのは本当に下手だもの。鑑賞者としての評価しかできない。
私はこう言う風にしか見れないし、絵なんてどんな風に見たっていいって思うからいいんだい。
私にわからないことがわかるのは羨ましいけどね。

 

て言うわけで、不定期にぽいぽい思いつくまま私も好きな絵を書いてみたいなぁと思った。
エス、ぱくりだよ。
100個やる自信ないから30個くらいにしようかな。 #好きな絵30選 とかね。

 

最初はルチオ・フォンタナの「空間概念 期待」の話をしよう。
いきなり絵画かどうか微妙な半立体作品だけど。

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「空間概念 期待」 ルチオ・フォンタナ作|高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸)|広報資料|日文の教育読み物|日本文教出版

フォンタナは、この作品のように、ひと色で塗り込めたキャンヴァスに、ナイフで切れ目を入れた作品を1000点近く制作しました。

あ、そうなんだ……うん、別に悪くないけど千点か…まあいいけど。
バージョン違いとは言え、あんまりいっぱいあるって言われるとちょっとテンション下がるのなんでだろうねw
いくつあろうが、そのものの価値は変わらないはずなのに。

 

気を取り直して。
私がこの絵を最初に知ったのは、多分中高の美術の教科書でだ。美術史の年表の中にほんの数センチ角の写真がチラッと載っているだけで、なんの説明もなかったと思う。
だから私はずっと、普通に「3本の線を描いた絵」だと思っていた。思っていたのに、なぜだかずっと気になって覚えているのだ。
ほんの小さな写しですら人の記憶に突き刺さる力のある作品だということだろう。

 

実物を初めて見たのは本当に最近、2016年の大原美術館展だ。基本的に前情報は入れずに行くので、見た時の衝撃は半端なかった。
「あ!これ知ってる!」てのと「え、こんななの?!」と言う驚き。
前述の通り、この線が切り込だと知らなかったから。半立体作品だったんだね。
裏か奥が黒く塗られており、丁寧に塗り込められた赤いキャンバスに入ったなめらかな傷跡から覗いている。その暗闇が、キャンバスの質感が、訴えかけてくる者がすごい。
ぴんと張られたキャンバス布が歪み、曲線を描いて落ち込んでいる。
たったそれだけなのに、異様な存在感がある。その前から動けなくなり、涙すら出てくる。
この作品を作った時、フォンタナは「これで自分はやりきった」と言ったという。
わかる。これは、ただの切れたキャンバスではない。
静かなたたずまいの中に、無限の奥行きを持った作品なのだ。

 

千枚もシリーズ作品があるなら、一枚くらい私の手元にあれればいいのにな。