人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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方向修正?

今までひたすら美術と猫の話だけをしてきたブログだけれど、少し方向転換をするかもしれない。

 

単純に言って、いくら都内一人暮らしという恵まれた環境でも、毎日ブログのネタにするほど週5つ美術展に行けるわけがないw
ブログのために行くのももちろんどうかしている。

 

ついでに言うと、日記とかエッセイとか小説風のものとかを他の所に書いていたりしたけれど、あちこちに書くのもどうかなと思うし、そのサービスももう酷いなと思うようになってきた。

そういうエッセイとか、ラノベでも二次創作でもない短編小説とかを投稿できる先があればよいのだけれど見つからないわけで。あったら教えてください。

 

要するに、日記とか変な文章とかもこちらで描くようになるでしょうという話です。
需要?そんなん気にしない。

膨大すぎる苦悩もあるらしい 藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!

藝大には藝「大」コレクション展を見に行ったのだ。

www.geidai.ac.jp

教授陣の作品や在学生の作品を収集し続けて、数が多過ぎて困っていると言うのが面白い。収納場所も足りないし、誰も全貌が把握できないほど巨大なコレクションに意味があるのか?という根本的な問題。でも、なんせ日本トップクラスの芸大、卒業生も錚々たるメンバーとなれば、その作品を青田買いする機会を逃すのも勇気がいるだろう。
コレクションってほどほどのサイズに収まらないから困るんだよね。

 

この展示はすでに後期に入っている。そして前期と後期で作品の半数ほどが入れ替えられているという異例の展示になっている。記事にしなかっただけで私は前期も見たのだが、前期の作品もとても良かった。
だから図録を買うといい。ぜひ買うといい。1800円とお安めだもの。

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高橋 由一 「鮭」

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板に書かれた小さな鮭図は見たことがあるのですが、こちらは紙に書かれた大きな絵。よく美術の教科書に出てくるのはこの絵だそうです。
しっかりとリアルに描かれて面白いけど、板絵の方が好きかな〜

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原田 直次郎 「靴屋の親爺」

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これも教科書で見た気がする。顔や服の汚れも含めて写実に徹した作品。なにも美化しなくとも力強い職人気質が伝わってくる。

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石田 英一 「銅製群兎置物」

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これ、一枚の銅板を叩いて形を出しているそうです。鋳造じゃなくて鍛造。ハンマーでコツコツ作られたもの。もうどうやって作ってるのか想像もできない。この裏側をのぞかせて欲しい。

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田中 太郎 「ないしょう話」

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ひたいを突き合わせてコソコソと内緒話をしているものの、よく見ると誰も相手の話を聞いている様子がない。とのキャプション。
なんだか呪いの像のようだね。プリミティブな感じがちょっと怖い。

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吉野 貴将 「森 ~cosmos~」

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これ、すごい。まじすごい。
正しい位置から光をあてることで後光が浮かび上がる、という設計通りに見事な光輪が現れていて感動する。図録の写真でもうっすら見えてるけど、こんな感じ。こんな感じ。

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こんなのどうやって計算して作ってるんだろうね。

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大学関係者のほかに、作品の補修をしているもののコーナーもあった。

クリストッフェル・ビスホップ・ビスホップ 「手相観」

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この絵好きだなと思ったらやっぱり19世紀で、この時代最高だと思った。
けど、図録で見たら白黒写真になっていた……どーりで図録安いと思ったw
本当にきれいだよ。

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日本画もいっぱいあったけど、洋画の方が好きだから今は乗せないw
象牙彫刻とか、銅像制作のための石膏像とか。やはり型取りして鋳造すると細かい部分がつぶれて勢いがなくなってしまうので、石膏像の方が素敵だなと思うものが多かった。


あと、卒業生の自画像コーナーがあってなかなかおもしろかった。やはり自意識をこじらせているので素直に自画像を出さず、好きな小説を貼ってみたりゴムシート(なぜ)をまいたものをそうだと主張したり。
でも、そうやって逃げに走るのってつまんないよね。
そういう自分からの逃避とか、ただまじめに描いたのではつまんないんじゃないかっていう見栄とか、そういうのを乗り越えた作品がみたいなって思うよね。

ないんだけどねぇ。

歪む自己と完璧な夏 うるしのかたち展

東京藝術大学の「うるしのかたち展に行ってきた。

めっちゃフォトジェニックな展示館の中でやっている無料の展示。

入ったらパンフが置いてあって、この厚さなら500円くらいかな?て思ったら名前書けば無料でくれるって言われてびっくりした。

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超綺麗じゃない?クオリティ高くない?ピッカピカで漆みたいじゃない?

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こんなしっかりした冊子無料で配って大丈夫なの??

学生や教授陣が作成した漆工芸が40点ほど見ることができます。

 

大西 長利 「漆玄盤」

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幅530mmのお盆。ただシンプルな楕円形だけれどとても美しい。まるで水を湛えたかのような深さがある。

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方 兆華 「太湖石」

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方解石のような不思議な多面体。ある面は光を反射して真っ白に光り、ある面は闇に沈む。そして他の面は周囲と私を写して揺らめく。

鏡面にしか見えない漆器の美しさが完璧に出ている。

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今井 美幸 「そうそうと」

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壁に掛けられていた。ゆらりと描かれた直線は風を表すのか波を表すのか。飄々として、真っ黒なのに軽やかだ。

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長島 友治 「有限性の前に」

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高さ1.2mだけれど台の上にあるので見上げるほどの大きさだ。フードの中が空虚で、ハリーポッターに出てくるディメンターのようだ。正面に立つと逆さまに映る自分の姿と向き合うようになっている。

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青木 宏憧 「心境」

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あああああ!青木好きぃ!!!

以前都美セレクションで見てからファンだ。欲しい。

黒い部分は楕円形ではなく、こちらは膨らんでいるが反対側は凹んでいる。周囲をぐるりと巡ると自分の姿が映る。膨らみ、広がり、急に細くなって一瞬映らなくなり、また歪んだ姿が現れる。そんな上部に対して下部は緑青のような色をした棘が無数に生えている。

膨らんで、歪んで、ねじ曲がりながらもつるりと滑らかに見せておいて、もし気づかれたらそれをあっという間に破裂させてしまう鋭い棘。

大好きだ。

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新宿謎のビル

新宿西口に、なんのキャプションもなく唐突に芸術品飾ってあるビルがあるの、知ってる?

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これは松岡セントラルビルディング。三井住友銀行とか入っているビルです。

これは、まさに銀行の地下入り口に置いてあるのだけれど、作者名も作品名もナーーンにも書いてない。

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ものが良さそうなのはなんとなくわかるぞ。

 

さらにすごいのが一階。銀行の出入り口脇にやはりなんの説明もなく大理石像が。

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羊の毛皮とか結構すごいぞ。

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弓矢を持っているからこれはキューピッドであって天使じゃないですね。花と荊の冠は愛の喜びと苦しみを表しているのでしょう。

横の部屋にはやはりなんの説明もなく無造作に大理石像が。

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なんなん。このビルなんなん。

 

というところで地下に戻ってみますとね。通路に写真が飾ってあるのです。

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こちらにはそれぞれ説明書きがあり、それによると「松岡美術館蔵」とのこと。

松岡美術館

なるほど、経営母体が一緒だから装飾兼宣伝で飾っているんですね。それにしても扱い雑だけどね!

松岡美術館とやらは駅から近いし安いし、面白そうなことやってるからそのうち行ってみたいです。